『久保田』を産んだ長岡・朝日酒造 ファンとの絆を深め日本酒の新たなシーンをつくる
『久保田』『朝日山』などを醸す長岡の朝日酒造。伝統を守りながらの新しい挑戦に迫る。
■土地に根ざした酒こそが地酒

蔵に新しい血が入り、酒づくりを大きく方向転換する一方で、変えずに守り続けてきたものもあるという。
川嶋:「土地に根ざしたお酒こそが、地酒」という考え方は、まったく変えていません。『久保田』が東京を目指したプロジェクトだったとしても、まず地元の人に愛されることが大切です。
そのためには、この土地のお米で、この土地の水で、この土地の人たちが醸すこと。「地域とともに」という考え方は、今に至るまで息づいています。
仕込み水は、魚沼礫層から湧き出る伏流水。淡麗できれいな酒をつくるのに適した軟水だ。酒米は、鑑評会への出品酒を含めて、すべて新潟県産米を使用している。
川嶋:酒造好適米として主に使っているのは五百万石、高級銘柄に関しては最近は越淡麗を使っています。今では、契約栽培米の比率が5割を超えました。
また、1990年には農業生産法人としてあさひ農研を設立し、稲の育て方を研究しています。品質のいい米を育てて、その作り方を契約農家さんにフィードバックしているのです。
米の品質は、育て方によって大きく変わるという。米粒の大きさやタンパク質の含有量(低いほうが酒米向き)などを研究し、酒づくりにとって無駄な部分が少ない高品質な米をつくれるよう、契約農家との協力関係を築いている。
■徹底した温度管理で品質を守る

長岡駅から車で向かうと、田んぼの真ん中に突如現れる近代的な建物が、朝日酒造だ。屋根などに和の雰囲気を残しつつも、コンクリート打ちっぱなしのデザイン。そこにも、銘酒『久保田』を背負う酒蔵ならではの思いがある。
川嶋:建物や設備は近代的ですが、それはあくまでも手段であって目的ではありません。昔ながらの酒づくりを忠実に励み、酒づくりの基本、王道を守りつつ、今できる最善のこととしての設備を用意しています。
たとえば、できたお酒を熟成させるための貯蔵棟という建物があるんですけれども、建物全体で温度管理をしつつ、さらにその中にある1本1本の貯蔵タンクも、それぞれの銘柄に合わせて温度を管理しています。






