狂おしいまでに「家族」という幸せの形を追い求めた… 坂口健太郎が魅せる圧巻の孤独と切なさ
28歳から40代までを演じ切る坂口健太郎の哀愁に酔う『私はあなたを知らない、』が8月28日公開。

母親の命を奪われた娘と、その母親を殺めた青年。それでもかつては本当の「家族」のように暮らしていた彼らの関係は、いったい何と呼べばいいのでしょう?
そんな「家族」の定義を突きつける『私はあなたを知らない、』が8月28日公開。
坂口健太郎さんが、罪を犯してしまう青年・西山夕平役を熱演。悲しいほどに罪を背負い込む圧巻の孤独を全身で体現し、観る者の心をつかむ本作のテーマに迫ってみましょう。
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■孤独な青年が見つけた「家族」

坂口さん扮する夕平は、ゴム手袋工場に勤め、高級生食パンを食べるのが楽しみな青年。天涯孤独ながら、ひっそりとまじめに暮らす日々を送っていました。
そんなある日、新しく同僚になったパート職員・東浜紗月(堀田真由さん)と出会います。食パン好きな夕平が、パン切り包丁を持っていないと知った紗月は、自分の包丁を貸してあげることに。それをきっかけに2人は交際をはじめますが、紗月は5歳の娘・朝子を育てるシングルマザーだったのでした。
やがて3人は本当の親子のように暮らし、夕平は朝子を実の子どものように世話をします。ところが、夕平の行き過ぎた行動に不安を感じた紗月は別れを決意。その別れ話を最後に、夕平は紗月を殺めた罪で逮捕されるのですが…?
■そして物語は続く

本作は、銭湯を舞台に、ひたむきに生きる女性の姿を描いた『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016年)で、数々の映画賞を総なめにした中野量太監督が、同作以来10年ぶりにオリジナル脚本を手がけた作品。
タイトルの終わりに、文を終わらせる「。(句点)」ではなく、「、(読点)」がついているのは、「その次に言葉があるから」と中野監督は語ります。映画が終わっても、夕平と朝子の未来は続いていくし、観客にもその後を想像できる映画になってほしいという思いを込めたそう。
■愛は罪と紙一重なのか

服役中の夕平に、大人になった朝子(早瀬憩さん)が面会に行くシーンが何度も登場しますが、物語の主軸は、この繰り返し行われる「出会い」にあるといえるでしょう。被害者と加害者、血のつながった親子、どんな関係であれ、私たちは人と接さずには生きていけません。その関係が続くか続かないよりも、人との出会いが人生を変えていく。夕平と朝子の関係もまた、そのひとつなのでしょう。
朝子と出会った28歳から、服役中の40代までを一貫して演じる坂口さんの演技は、あまりにも重みがあって、胸が締め付けられます。中野監督曰く、坂口さんは「強さと弱さが共存しているように見えるところも夕平にぴったり」と大絶賛。大人しく寡黙な夕平が、唯一大声を上げるのが、朝子に関することだったのを考えると、「家族の愛情」とは何なのか、「人を守ることが愛なのか、自らを罰することが愛なのか」。その答えを探しながら、私たちは「家族」のあり方の正解を、知りたくなるのです。
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『私はあなたを知らない、』
8月28日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
公式サイトはこちら!
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(文/Sirabee 編集部・尾藤 もあ)




