救急隊員「脱いだ靴を揃えないで」→命に関わる理由に「知らなかった…」 消防局は「一日10件ほど起こる」と説明
金沢市消防局が「救急隊員が脱いだ靴はそのままにして」と呼びかけ、その重要な理由に「知らなかった」と驚きの声が続出。同局は「体感で、救急件数の1〜2割で発生する事例」と、振り返っている。
悲しい話だが、良かれと思ってとった行動が、思わぬ「大きなお世話」となってしまうケースは少なくない。
現在ネット上では、とある消防局の「やめて」と呼びかけに対して「知らなかった…」と、驚きの声が上がっているのだ。
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■救急隊員の靴の脱ぎ方、どこかおかしい…?
ことの発端は先日、金沢市消防局がインスタグラムに投稿したショート動画。45秒ほどの動画には、3名の救急隊員が協力し、患者を移送する様子が収められている。
さて、入り口で順に靴を脱ぐ救急隊員の足元を見ると、違和感に気づく。1人目の隊員はつま先を出口に向けた一般的な脱ぎ方をしているが、他の2名は1人目の隊員の靴と垂直になるよう横向きに、お互いのつま先が向き合うように靴を脱いでいたのだ。

緊急時ということもあり、「落ち着いて靴を脱ぐ暇もないのかな…」と、つい同情してしまう人もいることだろう。1分1秒を争うのが、救助の世界。「せめて靴をスムーズに履かせてあげたい…」と思うのが人情だが、じつはその考えが非常に危険なのだ。
■患者の症状が悪化する恐れも…
当該の投稿本文には、なんと「救急隊からのお願い。脱いだ靴はそのままに!」「もし自宅に救急隊が来た時は、玄関の靴を揃えたり片付けたりせず、そのままにしておいてください」と、綴られており、その理由については「そのままにして頂くことが、スムーズな活動に繋がるんです」と、説明している。
動画の続きを見ると、担架に患者を乗せた隊員は1名が患者の頭部側、2名が両脇を支える形で、患者の足先が進行方向となるようなフォーメーションで移送を開始。
すると、頭部側にいる隊員は靴が正面を向いていた方がスムーズに履けるのだが、両脇の隊員らは靴が正面を向いている場合、体をよじらなければ靴が履けないと判明。
動画内では「フラフラしてとても危険です」「また、患者さんの症状が悪化してしまうこともあります」と、その危険性について補足していた。
つまり、前出の脱ぎ方は「落ち着いて靴を脱ぐ暇も無い」といった理由からではなく、患者の両脇を支える隊員にとって靴が履きやすいという、合理的な判断によるものだったのだ。
■消防局は「救急件数の1〜2割で発生」
こちらの投稿には多くの反響が寄せられており、ネットユーザーからは「知らなかった…」「勉強になります」「緊急時なら、靴履いて入っても許されると思う」「焦ると、訳の分からない行動とっちゃう場合もあるからね」といった声が上がっていた。
そこで今回は、話題の動画を投稿した金沢市消防局に詳しい話を聞いてみることに。

動画投稿の経緯について、同局の担当者は「最近、救急現場で靴を揃えて頂くシチュエーションが多く感じられたためです。消防職員の有志によるプロジェクト(「消防広報プロジェクト」と呼称しています)でメンバーの救急救命士2名がこのことに気づき、自ら作成しました」と、振り返る。
なお、「脱いだ靴を揃えられる」というケースの発生頻度については、「体感ですが、救急件数の1~2割程度で発生していると感じております。金沢市では1日に60~70件程度の救急出動をしておりますので、1日では10件前後と思われます」と、コメントしていた。
「約1〜2割」と聞くと少なく感じるかもしれないが、救急出動の場であることを考えると、決して無視できない数値である。

靴の脱ぎ方について、担当者は「金沢市の救急隊は1隊3名体制です。『隊長』と2名の『隊員』がいます。役割や配置は、日頃の訓練である程度、隊長によって事前に決めており、その訓練に応じた担当を隊員が担い、スムーズな活動に繋げています。靴を脱いで現場に入る場合の『靴の位置』も、その延長ということとなります。今後ともご理解とご協力を頂きたく、よろしくお願いします」と、呼びかけていた。
建物に入る際は、靴を揃えて並べるのが礼儀。しかし非常時や緊急時には、そうした礼儀以上に大切な理由があることを覚えておこう。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)




