五輪開会式を伝える海外報道 タイトルに「呪われた」「しょぼい」「絶望的」の文字も
米国で五輪の独占放映権を持つNBCユニバーサル社が、これからどれほどの視聴率を記録するものか、早くもそちらに関心を示す人も増えているようだ。
23日、コロナ禍のなか、ついに東京五輪が開幕した。誰もがマスクを着用し、ソーシャルディスタンスや静けさを求められた開会式は、予想通りの異様さと言えるだろう。
その様子は海外でも淡々と伝えられたが、日本政府が望んでいるはずもない言葉をタイトルに用いたメディアも少なくないようだ。
■豪華なのに虚しい国立競技場
巨大なオリンピックスタジアム(国立競技場)が建設されたものの、新型コロナのパンデミックにより、虚しいことに開会式も競技も無観客と決定。
エリザベス女王とジェームズ・ボンドのスカイダイビングに沸いた2012年のロンドン五輪、ド派手なカーニバルで特色を出した2016年のリオ五輪に比べ、演出自体もじつに控えめなものとなった。
それでも、五輪という特別な舞台で選手たちの瞳はいきいきと輝き、表情は晴ればれとして見えたと、どのメディアも伝えている。
■デモ隊の声が会場内にも届く
しかし、スタジアムの外側の騒がしさについても多くの海外メディアが事実を報じた。
「五輪より国民の命のほうが大事だ」と、なおも中止を叫ぶ抗議デモの様子を写真や動画などで紹介。開会式の会場が静かになった瞬間には、スタジアム周辺のデモ隊によるシュプレヒコールが聞こえてきたとしている。
また、カナダ版ヤフーニュースは「スタジアム南西の角を中心に数百名のデモ隊が結集。『五輪中止を』『この国に五輪は要らない、開催はごめんだ』などと叫んだ」などと詳細を伝えている。
■タイトルに並ぶ残念な言葉
また、海外メディアが開会式の様子を報じた記事のタイトルも気になる。「新型コロナのパンデミック下で」としたうえで、五輪開催の報道とは思えないネガティブな言葉を用いるメディアが多いことは、想定の範囲とはいえ、やはり驚くものがある。
インドの『ヒンドゥ・タイムズ』は、“ぐっと控えめにしたことでしょぼい開会式に”と、そしてアイルランドの『アイリッシュ・タイムズ』は、“感染者増加のなか呪われた東京五輪がついに開幕”と表現。さらにイギリス『テレグラフ』の“絶望的なほど悲しい開会式”など、冴えない言葉がたくさん見つかる。
■五輪中継への関心は?
ともかくオリンピックは開催され、各競技が始まった。好きな国、応援するアスリートがいる人はテレビにくぎ付けになり、精一杯の応援をすることだろう。
だが、海外でも若者のスポーツ離れが進んでいるという。「五輪そのものに関心がなくなった」「ニュースでダイジェスト版を見れば十分」という人が多いのも、このたびの五輪の特徴だと伝えるメディアは少なくない。
米国で五輪の独占放映権を持つNBCユニバーサル社は、これからどれほどの視聴率を得るだろうか。スポーツの人気、五輪の衰退ぶりがわかるとして、その数字に関心を示す人も多いようだ。
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(文/しらべぇ編集部・浅野 ナオミ)