蔵人たちのこだわりが生みだす『越路吹雪』 独自の酵母と信濃川が育む米と水の恵み
蔵独自の「オリジナル酵母」にもこだわる新潟『越路吹雪』の蔵元を取材。
1899年9月8日。二十四節気のひとつ、白露の日に創業を始めた蔵は『白露(シラツユ)』という名の酒を醸しはじめ、118年。
今、『越路吹雪』を掲げる高野酒造では、40代の杜氏を中心に高品質で消費者に愛される酒造りを行っている。
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■微生物が育つ環境を整えるために
「酒造家は自分たちが酒を造っていると思いがちですが、じつはそうじゃない。麹菌と酵母菌、その2つの微生物が酒を造ってくれるのです。
だから我々がこんな酒を造りたいとあれこれ計算しても、その通りになることはほとんどない。主役である微生物たちにいかにうまく働いていただけるか。その環境を整えるのが仕事です」
人は微生物のサポート的存在。それが高野社長の考えだ。
「自然の流れを見守る。これが難しい。ただ眺めているだけでは微生物はご機嫌になってくれません。温度に湿度、食料となる原料の状態を最善に保つのは、子育てと似ている」
■切磋琢磨し意見をぶつける
微生物に最高の環境については社長も従業員も関係なく、意見を言い合うのも高野流。
「みんな若く元気がいい。それぞれのこだわりもあり、意見をビシバシ言ってくれる。いい意味で切磋琢磨できる情熱あふれる仕事場なのだが、言い方を変えればお互い頑固になることも。まあ、それも全て微生物への愛情ですから、仕方ないですね」