酒造りに「これで満足」はない 世界的レストラン『NOBU』でも愛される佐渡の酒『北雪』
佐渡の誇りを地元ともに共有し、世界のレストランで愛される地酒。
■高価な機械をフル活用
遠心分離機を導入して5年目。稼働率としては全国でダントツ1位とメーカーも驚くほど。1台2,000万円以上する代物だが、採算以上にいい酒を造るという蔵の意気込みの証の一つだろう。
「もちろんヤブタでの搾りも行います。同じ醪でも搾りかた一つで味わいが変わる。そこにまだまだ酒質の向上部分があると自負しています。そして、それがこれからの楽しみの一つでもありますね。技術は常に進展進歩。酒造りも同じ。佐渡の酒を常にトップに掲げるべく精進するのみです」
■佐渡の誇りを持ち地元と共に
佐渡らしさとはなにか。それは蔵のある土地に敬意を払い、そこに住まう人を愛することだという。
「蔵のある赤泊という場所は島で一番南にあります。島の中でも温暖で、じつはみかんやイチゴが収穫できるのですよ」
島の北部ではりんご栽培が行われており、佐渡は一つの島で多種多様な実りが育つ島でもある。
「佐渡は豊かな実りに恵まれた場所。その実りを先人たちは活かしてきた。それは私たちも同じ思い。ですから酒米は山田錦以外、佐渡で育てているものを使っています。
地元の契約農家に兼業農家の蔵人と、周りは酒米を提供していただける環境がバッチリ整っており、うちが主力としている五百万石と越淡麗は100%佐渡産です」
酒米だけではない。梅はもちろん、イチゴなど、小粒などで出荷できないサイズなどを買い取り、量は少ないながらもリキュールにし地元販売するなど、地元との繋がりを第一に考えている。
「地元産の酒米や果実などがうちで酒として商品となることで、地酒っていいねと地元の方々が喜んでくれるのも励みになります。酒造りには原料、水、技術も大事だが、一番大切にするのは“人”であるという先人からの教えは、北雪酒造としてのポリシーであり、佐渡の酒としての誇りの糧です」