ヤモリを防ぐスプレー商品が「益獣なのになぜ?」と物議 アース製薬に「開発の経緯」聞いた
「益獣」とされるヤモリを忌避する製品に対し、「信じられない」と疑問の声が続出。アース製薬は「駆除剤ではない」と、製品誕生の経緯について説明する。
生き物の駆除や忌避が話題になるたび、「かわいそう」という声をあげるのは、決まって外野の人々。身をもって被害を受けている人々からすれば、「なんて呑気なことを…」と、怒りを覚えることだろう。
現在X上では、そんなエピソードを体現したかのような議論が勃発しているのだ。
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■店頭に並んだスプレー缶、その正体は…
ことの発端は、沖縄県のグルメに関する情報を多数発信しているXユーザー・旅めぐりさんが投稿した1件のポスト。
「なんて可哀想な商品売ってるの、やーるー(沖縄の言葉で『ヤモリ』)可愛いし害ないじゃん」と綴られた投稿には、店頭にズラリと並んだスプレー缶製品の写真が添えられており、缶には「ヤモリ立入禁止」という記載と、壁から滑り落ちるヤモリのイラストが確認できる。

ヤモリは屋内の様々な害虫を捕食してくれる存在で、漢字で「家守」と書くように、一般的には「益獣」として知られている。
そんなヤモリをシャットアウトする製品ということに拒否反応を示す人物は少なくないようで、Xユーザーからは「ヤモリごときでそんなに騒ぐの?」「苦手なのは分かるけど、家の窓ガラスにくっ付くくらい、許容してあげてほしい」「ヤモリも不快害獣になってしまう時代か」「ひどい…ヤモリかわいいのに…」といった疑問の声が多数寄せられていた。
■アース製薬は「駆除剤ではない」と否定

そこで今回は、今年1月に発売された『アースガーデン ヤモリ立入禁止 スプレー』の詳細をめぐり、メーカーのアース製薬に話を聞いてみることに。

同製品の用法について、アース製薬は「本製品はヤモリが入ってきてほしくない窓やその周りの窓枠、外壁などの侵入経路にスプレーして使用します。殺虫成分ではなく有効成分として「すべり成分(シリコーン系)」を配合しており、ヤモリが滑って登れなくなることで、屋内侵入を防ぎます」と説明している。
多くのネットユーザーが誤解している点だが、同製品は決してヤモリを退治・殺虫する「駆除剤」ではない。ヤモリの侵入経路を物理的にガードし、部屋への侵入を防ぐ「侵入防止(忌避)製品」なのだ。

アース製薬は「薬剤による駆除や殺傷を目的とした製品ではなく、『殺生はしたくないが家には入れたくない』というお客様のニーズに応えた製品です」とも補足している。
その開発経緯については、「ヤモリの主な発生時期である4月から10月にかけて、ヤモリの生息確認率が高い南関東から西の地域を中心に、『ヤモリが家に入ってくる』というお客様からのご相談が寄せられ、屋外からの侵入を防ぐ製品として開発しました」と、回答している。
つまり、同製品は「ヤモリの命を奪う」ようなものではなく、加えてヤモリが多く出現する地域の人々の「必要」という声に応える形で開発された製品なのだ。
■益獣であり、害獣でもあるヤモリ
冒頭でも触れたように、今回否定的な声をあげている人物は、大半が「ヤモリによる実害を受けた経験が無い」人々ではないだろうか。
なんて可哀想な商品売ってるの、やーるー可愛いし害ないじゃん pic.twitter.com/0FRZeHNuAV
— 旅めぐり (@tabemeguri1) September 26, 2026
実際、沖縄在住のポスト投稿主・旅めぐりさんも、「電気屋でエアコンを購入する際、オプションでヤモリガードなどをつけるような地域なので、室外機に入らないようにするとか、そういう使い方がメインな気がします」とコメントしていた。今回のポストも製品を全否定するような意図はなく、軽い気持ちで投稿したところ、製品に対する過激な意見が散見され、困惑しているようだ。
「害虫を食べて田畑を守る」という側面で見れば、スズメは益鳥である。しかし、「収穫期を迎えた田んぼの穀物を食べる」という側面から見れば外鳥になってしまう。このように、害獣・益獣(虫、鳥)といった区別自体が人間本位なものであり、多くの生き物が両方の側面を持っているのだ。
ヤモリのような益獣として知られる生物にも「害獣」としての姿があり、それに悩んでいる人々がいるという事実を改めて知ってほしい。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)




