横断歩道で立ち往生の小学生、対向車のあり得ない判断が「違反では?」と物議 警察も「歩行者が優先」と断言
横断歩道前で車が停まるのを待つ小学生たちの動画に「おかしくない?」と、疑問の声が殺到。栃木県警は「歩行者が優先である」と、その理由について説明する。
「謙譲語」という日本語独自の表現に代表されるように、「譲る」という行為は、日本人の精神に深く根付いている。
しかし以前X上では、この「譲る」という行為に対し、疑問の声が続出していたのだ。
■横断歩道を渡りたい小学生、車の反応は…
ことの発端は、とあるXユーザーが投稿した1件のポスト。
「栃木県小山市の県道33号で、横断しようとしている児童たちに道を譲らない2台の車。さすがにこれは恥ずかしい」と綴られたポストには、20秒程度の動画が添えられている。
動画を再生すると、黄色い帽子に黄色い傘という出立ちの、小学校低学年と思われる児童5〜6名が横断歩道を通過するタイミングを見計らっている様子が確認できた。
当該の動画は児童から見て手前側の車線にいる車のドライブレコーダーのようで、子供達はオレンジ色の中央線付近まで歩き出す。

しかし、子供達から見て奥側にある車線を走る車が、連続して子供達の存在を無視。停止どころか徐行する素振りすら見せず、そのまま通過していったのだ。
■「子供達が気の毒」と疑問の声相次ぐ
2台連続で目の前を通過された子供達は、諦めるかのように退却。すると「三度目の正直」はやはり本当だったのか、3台目の車が横断歩道の手前で停車し、無事に子供達は横断歩道を渡れたのだ。

しかし、3台目の車も「停止線を若干越えた位置」で停車している点は明記しておきたい。
こちらの光景はX上で大いに物議を醸しており、「これ、違反ですよね?」「何がヤバいって、対向車は停まっているのに停まろうとしないところ」「黄色い傘な上に団体でいるんだから、気付かないはずがないだろう」「一向に停まってくれる気配が無いから『いったん下がろうか』みたいに後戻りしている子供達が気の毒」「横断歩道のルールを知らなそう」など、怒りと疑問の声が多数寄せられている。
一方で、横断歩道を渡ろうとする子供達に、車側が道を「譲る」という表現に、疑問を覚えた人も少なくないようだ。
そこで今回は、道路交通法の観点から見た「横断歩道のルール」について、栃木県警察に話を聞いてみることに。
■歩行者に道を「譲る」のはおかしい?
取材に応じてくれたのは、栃木県警の交通部交通企画課。
今回のように、横断歩道に差し掛かった走行中の車が「横断歩道を渡りたそうな人」を発見した際にとるべき行動について、担当者は「横断歩道における歩行者の優先は、道路交通法第38条第1項に規定されています。個別具体の状況によりますが、ご質問の『横断歩道を渡りたそうな人』が、動作その他から見て、道路を横断しようとする意思のあることが外形上も明らかである場合、車両等は、横断歩道の直前で停止し、かつその通行を妨げないようにしなければなりません」と、説明する。
その内容について、道交法では「車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下、横断歩道等)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下、歩行者等)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前)で停止することができるような速度で進行しなければならない。この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない」と、定めている。
このように横断歩道では、車側は歩行者のため道を「譲ってあげる」立場ではなく、「停止が義務付けられている」立場にあるのだ。
つまり、児童たちを無視して通過した車2台は当然アウト。停止線を越えて停止した車も厳密にはアウトの、スリーアウトチェンジと言えるだろう。
■歩行者側が「譲った」場合の判断は?
加えて、気になるのが、「横断歩道を渡りたそうな人物」が車側に「道を譲った」ケースである。
こうした場合の判断について、栃木県警の担当者は「道路交通法第38条第1項に違反するか否かの事実認定については、違反の具体的な態様等を踏まえて、個別具体に判断されます。お尋ねの横断歩道を『通過中』の人について、必ずしも意味するところが明らかではありませんが、例えば、横断歩道にいる歩行者が、一時停止をしている車両の運転者に対して先に進行するよう手の動作等によって明確に示している場合において、当該車両が当該歩行者よりも先に進行することとなっても、『その通行を妨げているもの』とは認められないため、違反は成立しません」と、回答していた。
しかし一方で、ネット上では歩行者に「どうぞ」と道を譲られたので発進したところ白バイ隊員に「停止義務違反」で検挙された、という体験談が定期的に上がり、話題となっている。
そのため、こちらの状況に関しては現場の警察官の「さじ加減」となってしまう部分が大きいのかもしれない。
なんにせよ、車を運転する読者諸君は「横断歩道は歩行者優先」という事実を、改めて頭に叩き込んでほしい。
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)




