「ゲリラ豪雨」はよくない言葉? 中島健人主演『SとX』のセリフで話題に
「ゲリラ豪雨」という表現。気象庁が使わず"ある言葉"に言い換える理由は…。

8月に入ってからは連日のように、全国各地で警報級の大雨・ゲリラ豪雨が発生しています。
Netflixで話題のドラマ内でも、この「ゲリラ豪雨」という言葉をめぐる印象的なシーンが描かれていました。
■ドラマ『SとX』で描かれた会話
今月20日からNetflixで配信されている、歌手で俳優の中島健人さんが主演を務める『SとX』。
中島さんが演じる主人公・霜鳥壱人の初恋相手であり、ヒロイン・市之瀬佑美役を演じるのは女優・新木優子さん。お天気キャスターから人気アナウンサーへと上り詰めた役柄です。
作品内で、デートをしていた2人が突然の大雨に見舞われるシーンがあり、霜鳥は「急に来たね、ゲリラ豪雨」と呟くと、市之瀬は「局地的豪雨。あまりいい言葉じゃないからね、“ゲリラ”って」と言い直し、「さすが、元お天気キャスター」と笑い合う一幕があります。
■「普通に使ってた」SNSでの疑問の声
豪雨以外にも、ライブや配信でもよく聞く“ゲリラ”。劇中の「あまりいい言葉じゃない」という言葉には、SNSで「ゲリラってよくない言葉なの?」「普通に使ってたし、ニュースでも普通に言ってない?」といった疑問の声が上がっていました。
そこで、今回は「あまりいい言葉じゃない」の真意を調べてみました。
■不正規戦闘を行う兵士
まずは、気象庁・国土交通省の公式ページの「雨に関する用語」では、「ゲリラ豪雨」は✕とされ、「局地的豪雨」「集中豪雨」と表現するよう明記されています。
さらに、気象庁監修・加藤輝之氏著の『図解説 中小規模気象学』では、「ゲリラ豪雨」について説明し、その流れで「ゲリラ」という言葉自体の意味にも触れています。
「そもそも『ゲリラ』とは、不正規戦闘を行う兵士のこと。奇襲や待ち伏せを行うことから、“不意打ちで予想できない”という意味合いを持つようになり、予測が難しい局地的な大雨を『ゲリラ豪雨』と呼ぶようになった」
■軍事用語に由来する「ゲリラ」の背景
つまり、この資料を出典にすれば、「ゲリラ」とは「ゲリラ戦」と呼ばれる「不正規戦闘を行なう兵士」とあり、さらに、そうした兵士が奇襲や待ち伏せを行うことから、「不意打ちで予想できない」という意味合いで使われていると説明されています。
1970年代から、一部メディアでは使われていたという「ゲリラ豪雨」。社会全体に定着したのは、2008年夏の相次ぐ都市部被害とメディアの多用。そして、同年には「新語・流行語大賞」で「ゲリラ豪雨」がトップテンに選出されたことから、一般の日常会話に広がったようです。
■「放送禁止用語」ではない
もちろん「ゲリラ豪雨」や「ゲリラライブ」は放送禁止用語ではなく、突発的な現象やイベントを分かりやすく伝える表現として日常的に使われています。
しかし、もともとが不意打ちや軍事行動に由来する言葉であることを知ると、気象予報士やアナウンサーが「局地的豪雨」と言い換える理由や、言葉を扱う仕事ならではの慎重さに納得させられます。
私たちが、普段なにげなく使っている言葉も、背景を知るとまた違った見え方がしてきますね。
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■冬野とまと
千葉で生まれ、千葉で育ったアラフォーの編集&ライター。高校在学中にアメリカへ短期留学したことをキッカケに、卒業後はニューヨークの大学に入るも中退。
10年以上の放送作家の後ウェブの世界へ。多くのインタビュー経験を経てエンタメや社会問題の記事を書く日々。行動心理カウンセラーの資格を持っているため、ときに人の言動をガン見することも。
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(文/Sirabee 編集部・冬野 とまと)




