小説の文庫本、1冊2000円の時代に突入 「500円で買えたのに…」と嘆きの声相次ぐ
海外小説の文庫本が2,000円台に到達して話題に。「昔は500円だったのに」「円安とは言え高すぎる」など、驚きの声が上がっている。
読者諸君は「2,000円の本」と聞いて、どのようなデザインを連想しただろうか。分厚いハードカバーや、辞書と見紛う厚さの参考書をイメージした人は多いはず。
しかしこれは、現在X上で話題となっている、とある出版社の文庫本小説の価格なのだ。
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■海外小説の文庫本、2,000円の時代に
ことの発端は、とあるXユーザーが投稿した「ひえ…これ、文庫なんだけど…分厚いわけでもないし(400ページくらい)」という内容のポスト。
投稿には文庫本の背表紙が写った写真が添えられており、その価格は1,900円。税込価格は2,090円と、2,000円をオーバーする金額である。

なお、こちらは2月に発売された『罪人に死を』(ハヤカワ・ミステリ文庫)というタイトルの本。
当該のポストは瞬く間に話題となり、Xユーザーからは「文庫本で1,900円は高いな」「昔は文庫本って500円で買えたよ」「物価高騰と分かっていても、驚く値段」「本が売れない最大の理由はこれでは」など、驚きの声が多数寄せられていた。
■名作小説の新装版も軒並み値上げ
最近では、ここ日本でも20日に公開される話題の映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の原作となる同名小説(ハヤカワ文庫SF)上下巻の価格がそれぞれ1,650円(税込)と、注目を集めていた。
新装版として発売された過去の名作文学の値上がりも話題となっており、例えばウィリアム・ギブスンによるスプロール三部作『ニューロマンサー』『カウント・ゼロ』『モナリザ・オーヴァドライヴ』(いずれも〔新版〕、ハヤカワ文庫SF)は、どれも2,000円超え。

記者が7年前に買った『ニューロマンサー』の文庫本は、確か1,200円ほどだったと記憶しているが…X上では「(それよりさらに前は)600円だった」という投稿が話題となり、「(価格が)約4倍になっている」という点に注目が集まった。

2日に発売されたばかりの『そして誰もいなくなった』〔改訳新版〕』(クリスティー文庫)は1,815円(税込)と、2010年に発売された新訳版から500円近く値段が上がっている。
■出版社に事情を聞くも…
濃厚な読書によって得られる体験は、金銭的な価値観に置き換えられるものではない。「払った金額以上の価値があった」という名著に出会えるのも、読書の醍醐味である。
しかし頭で分かっていても、1冊の本を買うのにかかる金額は、現実的な問題として消費者にのしかかってくる。
なお、ネット上では価格高騰に悲鳴が上がる一方で、「海外文学の場合はロイヤリティも発生するので、数%高くなります」「人件費や翻訳にかかる費用も上がってそう」「海外文学は、円安も絡んできていると思います」「紙の価格が相当上がっている」など、出版社に理解を示すユーザーの声も散見された。
そこで今回は、一連の価格高騰で特に話題に上がっている早川書房に、事情を聞いてみることに。しかしSirabee編集部の取材依頼に対し、同社からの回答は得られなかった。
そう遠くない未来では「文庫本1冊が2,000円は安い」と言いたくなるような価格が設定されているかもしれない。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。道路・鉄道ネタに関する取材で、国土交通省や都道府県警、全国の道路事務所、鉄道会社に太いパイプを持つ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)




