クマ襲撃で顔がめちゃくちゃに… 被害者親族が憤るクマ擁護派の「人間が悪い」論

過去最悪ペースで報告が相次ぐクマによる人的被害。クマ擁護派の声も一部で上がっているが、襲撃された被害者の親族はどう感じているのか。

クマ・熊

クマによる人的被害が急増している。ネットでは、一部ユーザーからクマ側を“擁護”する声が上がっているが、親族が被害に遭った人たちはその流れをどう感じているのか。取材した。


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■過去最悪ペースで進む死亡者数

環境省が発表している「クマ類による人身被害」データによれば、2023年度のクマによる被害者数は219人、うち6人が死亡。24年度は被害者数85人に対し3人死亡という状況だった。

しかし、本年度は4月〜11月までの数値ながらすでに全国で13人が命を落としており、人間とクマの遭遇率、さらには致命傷を与えられるケースが急増していることがわかる。中でも被害者が集中しているのが秋田県(死亡者4名)と岩手県(死亡者5名)だ。

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■存在感増す「擁護派」の声

ネットでは連日、クマによる被害とその駆除がニュースとして報じられている。そんな中、コメント欄に数年前から散見されるのが「本来クマは臆病で人は襲わない」「殺さず保護するべき」「自然をいじくり倒した人間のせい」という、擁護の声。

しかし、大勢を占めるのは被害者を思いやるコメントと、駆除を進めるべきという声で「机上の空論」「だったら現地でクマと対話してこい」と擁護派を否定する意見も多い。この状況を、秋田の住民たちはどう思っているのか。クマの出没が相次いでいる秋田・由利本荘市の70代男性に話を聞いた。

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■「目を見ながら後ろに下がる」はできない

秋田駅から車で約1時間30分、鳥海山の麓で代々農家を営んできた男性は、6年前に従兄弟がクマに襲われた。

「従兄弟夫婦が山菜とタケノコを採りに山に行ったら、突然背後からクマが飛び出してきて、従兄弟が襲われたんです。無我夢中で手足をバタつかせて追い払うも、顔を何度も食い散らかされてしまい、ドクターヘリで救急搬送。顔の形成手術を何回も繰り返していますが、それはそれは酷いものでした。これまで何度も行った山で、クマに襲われたなんてことは一度も聞いたことがなかったんです」(農家の男性)。

その頃から、山のみならず自身が管理している田畑周辺にもクマが出始めたという。

「9月、うちのお墓の掃除に行ったらクマがいたんです。偶然クマが逃げていったので良かったですが、ニュースでよく聞く『目を見ながら後ろに下がる』なんてやる余裕は全くなかった。想定していない場所にいるもんですから。その時は市にすぐ報告しましたが、農家をやっている仲間には役所関係者立ち合いの手続きが面倒だからと、連絡しない人もいる。報告されている数字以上に遭遇数は多いのだと思います」と続ける。

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■「とんでもない話」と憤る男性

ネットの一部に上がるクマ擁護論についてはどう感じているのか。男性は憤りを隠せない。

「とんでもない話。地元でそんなことを言っている人は誰もいません。近くのリンゴ農家は、クマの被害でリンゴをほとんど食い荒らされた。対策として自動的に追い払う音の出る高価な機械を設置していたそうですが、それでも来てしまう。収穫予定だった野菜や果物が減り、対策費用もかかり、そんな苦しい状況で『人間のせいだ』と追い打ちの言葉を投げる人が同じ日本にいるのか。理解に苦しみます」(農家の男性)。

今回話を聞いたのはすべて秋田に住む筆者の親族である。クマに襲われた男性は筆者の親族にあたる。取材を続ける中で、クマ被害は遠い土地の話ではなく身近に起こりえる話なのだと改めて感じた。このたび秋田には自衛隊が派遣されたが、少しでも現地での状況が改善されることを祈っている。

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■著者プロフィール

キモカメコ佐藤(@peyangtaneda)。1982年東京都生まれ、sirabee編集部記者。

政治・経済系出版社、『1UP情報局』『ねとらぼ』編集部などを経て現職。格闘技やプロ野球のほか、コスプレ、メイド、秋葉原文化を長年取材してきたオタク記者。父方の実家は秋田・鳥海山の麓。

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(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤

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