レアすぎる謎のクワガタ「雌雄モザイク」見つかって話題に 昆虫のプロにその正体を聞いた 

奇妙な形状のアゴを持つクワガタムシが発見され、その正体が「レアすぎる」と話題に。昆虫の専門家は「一生のうちで、1匹に出会えるかどうかというレベル」と説明する。

2025/09/04 04:45

■昆虫の専門家は「一生のうちで1匹出会えるかどうか」

大阪市立自然史博物館は大阪、その周辺の自然について、過去からの変遷を見ながら理解を深められる資料・展示が揃っているのが強み。

展示している標本はごく一部で、多数の標本コレクションを収蔵庫に所蔵し、西日本の自然史研究の大きな調査拠点のひとつとなっている。また、自然のことを一般の人に広く理解してもらえるよう、年間200回以上ものイベントを企画・実施しているのも魅力だ。

ミヤマクワガタの雌雄モザイク
(画像提供:響さん)

そんな大阪市立自然史博物館の担当者は、今回話題となったクワガタの正体について「画像のミヤマクワガタは、オスとメスの特徴が同一の個体に存在する、いわゆる雌雄モザイクの個体だと思われます」と、回答。

「モザイク個体」が指す内容について、「昆虫は人間を含む哺乳類と異なり、体を構成する細胞のオス・メスが、個々に独立して決まるという性質を持っているため、稀にこのような現象が起こると言われています」と説明する。

まさに生命の神秘だが、それだけに不明な部分も多く、担当者は「実際にこうした個体が産まれるのは、遺伝子に何らかの異常があることが原因と考えられています。誕生の確率は色々と言われていますが…そもそも、ミヤマクワガタが何個体いるのか調べることが困難なため、正確な確率を算出するのは難しいです」とも語っていた。

ミヤマクワガタ雌雄モザイク(1950年滋賀県産)
(画像提供:大阪市立自然史博物館)

しかし、そうした実情を踏まえた上で「個人的にはこのような雌雄モザイクの虫を野外で見つけたことはありませんので、『一生のうちにこのような1個体に出会えるかどうか』というような確率ではないかと思います」とも分析している。

昆虫のプロですら「一生のうちで1匹に出会えるかどうか」という、非常に貴重な存在だったのだ。

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■雌雄モザイク昆虫、子供は産めるのか?

「雌雄モザイク」と聞いて、その生殖能力に疑問を感じた読者もいることだろう。

こちらについては、「繁殖を行なうための交尾器の形状が通常のオス・メスと異なり、繁殖ができないことは、様々な昆虫で報告されています」との回答が得られている。

たとえば、クロマルハナバチの雌雄モザイク個体の体内の状態を調べた研究では、外部形態は比較的明瞭に左右でオス・メスの特徴が見られるにも関わらず、体の内部は必ずしも左右で明瞭に分かれているということはない、という結果が出ているという(引用元:玉川大学)。

また、同じクロマルハナバチの別の事例では、雌雄モザイク個体が、メスに対して猛然と接近するものの交尾直前でやめてしまう、という様子が複数回観察された、という事例が報告されている(引用元:JT生命誌研究館)。

こうした研究事例を踏まえ、大阪市立自然史博物館の担当者は「雌雄モザイク個体の体内の様子は外見以上に、あるいは我々が思っている以上に複雑であることが窺えます」と、頷いていた。

アカエリトリバネアゲハの雌雄モザイク.
(画像提供:大阪市立自然史博物館)

今回の取材に協力してくれた大阪市立自然史博物館では現在、特別展「昆虫MANIAC」を開催中。雌雄モザイクの昆虫標本も展示されているので、興味がある人はぜひチェックしてほしい。

何度見ても驚く雌雄モザイクのクワガタムシのポスト

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。犬や猫が好きだが昆虫にも興味があり、有識者への取材記事を多数手がける。

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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ

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