セクハラ被害の声を上げた、実在の女優の半生を描いた映画で感じた「沈黙を破る人間の強さ」
物議を醸し出した映画の主演女優が告発する『タンゴの後で』が9月5日公開。

2011年に58歳の若さで亡くなったフランス人女優、マリア・シュナイダーをご存じですか?
映画界では、2017年のセクハラ被害を告発する「MeToo運動」が広まって以降、被害者が徐々に重い口を開くようになっているといえますが、約50年前の1970年代に、声を上げたのがマリアだったのです。
その彼女の人生を活写する『タンゴの後で』が9月5日より公開。改めて現代的な視点から、セクハラ問題について考えてみましょう。
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■『タンゴの後で』起きたこと

1952年、パリ出身のマリア(アナマリア・バルトロメイ)は、19歳の時、気鋭のベルナルド・ベルトルッチ(ジュゼッペ・マッジョ)監督がメガホンを取った『ラストタンゴ・イン・パリ』に出演します。
共演は、トップスターのマーロン・ブランド(マット・ディロン)。彼の演じる孤独な中年男が、マリア扮する若い女性との愛欲に溺れていくストーリーで、過激な性描写が話題となり、マリアはたちまち脚光を浴びることに。
ですがその裏では、マリアの意に反した撮影が行われており、心身共に傷ついたマリアの未来を奪う形になってしまっていたのです。
■賞レースの結果が物語るのは

ベルナルド・ベルトルッチ監督といえば、清朝最後の皇帝、溥儀の半生を描いた『ラストエンペラー』(1987年)で、アカデミー賞監督賞を受賞した巨匠として有名です。また、マーロン・ブランドも、二度のアカデミー賞主演男優賞ほか、数々の賞に輝いた名優と称されます。
この『ラストタンゴ・イン・パリ』でも、ベルトリッチ監督はアカデミー賞の監督賞、ブランドは主演男優賞にノミネートされていますが、各賞レースに、特にマリアの名前は出てきません。
この結果は、何を意味するのでしょうか?
■あえて沈黙を破った強さ

昨今では、「性被害を受けた」と声を上げた女性が「被害者」となり、「お互い納得していた上での行いだった」とする男性が「加害者」として断罪されるケースも起こっています。
特に密室での行いは、当事者にしかわからない部分があり、真相を見極めるのは困難な場合もあります。
とはいえ「魂の殺人」とされる性被害は、いずれも当事者の行末を曇らせるのは間違いありません。それでも、あの時代にあえて声を上げたマリアの姿は、権力や慣習に押しつぶされそうな中でも、沈黙を破る人間の強さを示しているといえるでしょう。
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『タンゴの後で』
9月5日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開
公式サイトはこちら!
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(文/Sirabee 編集部・尾藤 もあ)




