何故ここまでやった!? 藤子・F・不二雄先生愛がヤバすぎる経営ゲーム『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』プレイレビュー
全キャラの名前が言えたらあなたは藤子・F・不二雄博士。マニアックなネタと原作愛が満載のどら焼き屋経営ゲームで遊んでみました。
Sirabee読者の皆様おはようございます、一番好きなカイロソフトのゲームは『ゲーム発展国++』、好きな藤子・F・不二雄先生の作品は『ポコニャン』なVTuberの幽霊坂ゆらぎです。
今回は私の好きなものと好きなもの同士が合体した結果とんでもない名作が生まれ、すでに関係各所で絶賛されまくっている『ドラえもんのどら焼き屋さん物語』をレビューしていきたいと思います。
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■ただのキャラゲー…じゃない!
本作はドット絵シミュレーションゲームの老舗であるカイロソフトさんが作ったどら焼き屋経営シミュレーションです。
カイロソフトファンの私ですが、発売当初は「いつものカイロソフトのゲームにドラえもん要素が加わったのかな?」程度に思っていたのですが、これが全くの見当違いでした。
日に日に聞こえてくる口コミでの評判を耳にするにつれて、「どうやらこれは何かが違うようだぞ」と思い、PC版の発売を待たずにNintendo Switch版をプレイしたのでした。
本レビューではできるだけストーリーの核心に迫るようなネタバレはしませんが、作中に登場する「Fキャラ(藤子・F・不二雄キャラクター)」のネタバレなどを含んでいます。
一体どんなキャラクターが登場するのか、自分で確かめてみたい人は今すぐ買ってプレイしてみてくださいね。
■のびドラ、和菓子職人になる
冒頭のあらすじですが、のび太とドラえもんが近所にオープンしたどら焼き屋さんに行くと、そこにはシャッターの閉まったお店の姿が。
何やら困った様子の店主のおじいさんに話を聞くと、大事な商売道具の手を怪我してしまって、このままではどら焼きが作れないとのことです。
ドラえもんたちはお礼の大量のどら焼きにつられて、おじいさんの代わりにお店の手伝い(というか経営のすべて)を引き受けることになりました。
ちょっとした手の怪我なんてドラえもんのひみつ道具、例えばお医者さんカバンを使えば一瞬で治るとは思いますが、大長編がそうであるように物語の導入としてはこれでいいんです、むしろバッチリです。
こうして経営パートが始まると、まずはカイロソフトのゲームにはつきものの秘書ロボットと、和菓子職人としては素人の二人に和菓子の作り方を教えてくれる「ワガッシー」が仲間になります。
ロボットの監修があるとはいえ、のび太たちに食品を製造・販売する資格があるのかは大いに疑問が残りますが、なにはともあれやっていきましょう!
■ありとあらゆる藤子作品のキャラが登場
経営の流れとしては、まずはどら焼きを販売しながら探索で食材を集め、その食材で新しいお菓子を開発するというのが基本的なサイクルになります。ここまではカイロソフトのゲームに慣れているプレイヤーならすぐにコツをつかめると思います。
ただ、これまでのシリーズと違うのは、これが『ドラえもん』のゲームで、藤子先生の生誕90周年記念として作られたゲームでもあるということ。
お店に訪れるのは一般のお客さんだけでなく、様々な「Fキャラ」がいて、例えばのび太たちの学校の「先生」もお店のお客さんとして来店するようになります。
Fキャラ達はゲーム序盤は『ドラえもん』の登場人物が中心ですが、探索パートなどで「本」を見つけることで、別の作品と世界がつながるようになります。
このFキャラの数がとんでもなくて、『パーマン』『エスパー魔美』『モジャ公』など、アニメ化もされた有名な作品から、短編集にのみ登場するマニアックな宇宙人などもいて、藤子先生が生み出したありとあらゆるキャラクターが登場します。
さらには家具のアンロック要素もあり、お店の家具を「和風」や「モダン」など、同じスタイルで統一すると見た目も変化します。
お客さんによっては好みのスタイルがあるため、これも重要な要素の一つです。
Fキャラのアンロックと同時に新しい家具もどんどん手に入るので、とにかくお店をいじっているだけで無限に時間を費やせます。
過去に遊んだカイロソフトのゲームは経営が軌道に乗ってくると、数字が大きくなるのをぼーっと眺めている時間も多かったのですが、この作品に関してはFキャラというスパイスのおかげで最後まで退屈とは無縁でした。
■スタッフの藤子愛がすごすぎる…
マニアックなFキャラたちが多数登場する時点で予感はありましたが、このゲーム、開発スタッフの「藤子・F・不二雄先生愛」がちょっと尋常じゃないんです。
例えばお店ではたらくのび太たちのトレーニングメニュー一つとっても、中身がけん玉、ヨーヨー、射撃など原作にゆかりがあるものばかり、というか原作にゆかりがないメニューがありません。
しかも結果は一律ではなく、ジャイアンはヨーヨーが得意だったり、のび太が目でピーナッツを食べていたりと、いちいち「これって原作のどのシーンだったっけ?」と考え込んでしまうほど、ドラえもん原作へのマニアックな愛情にあふれています。
先ほど出てくるキャラクターの豊富さについて触れましたが、特に劇場版(大長編)ドラえもんのキャラクターは敵や味方を問わずめちゃくちゃ登場します。
お客さんとしては「バンホー」や「ペコ」「チッポ」などがお店に来ますし、のび太たちの食材集めの邪魔をしてくる「ジャマモノ」は「ギガゾンビ」など劇場版のヴィランから選ばれています。
中には元になった作品を知っていると、思わず目頭が熱くなるようなシーンもありますよ。
■丁寧なシナリオは必見
当初は私の初回プレイの様子を交えながらレビューをする予定だったのですが、あまりにも面白いイベントが多すぎてとりとめがなくなってしまい、断念しました。
また、本作はFキャラ総出演のお祭りゲームではあるのですが、メインシナリオがかなりしっかり作られています。ネタバレ防止になるので何も言えませんが、私は泣きました。
カイロソフトという絶対面白い事が約束されているシステムに藤子先生のキャラクター、そしてヤバいくらいの藤子先生愛がスパイスとして加わった結果、本作はとんでもない傑作に仕上がってしまったようです…。
ちなみに経営部分はいつものカイロソフトのゲームに比べるとやや優しめで、この手のシミュレーションゲームであまり遊んだことのない人でも大丈夫。
それでいていわゆる「クリア後」のやりこみ要素についてもガッツリと用意されているので「簡単すぎてすぐに終わってしまった」ということもないのでご安心を。
私はいつもレビューしたゲームのオススメ対象を書いているのですが、本作はドラえもんファンのみならず、藤子・F・不二雄先生の作品が大好きな人は遊んでみて損はないと思います。
また、カイロソフトのシリーズファンにも間違いなくオススメできる一本ですよ!
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(文/Sirabee 編集部・幽霊坂ゆらぎ)