約2割が知っている内皮の剥き方とは? 日本で開発された製造方式を海外でも採用
みかんの缶詰の製造理論を世界で初めて確立したのは日本だった。
缶詰のみかんの内皮がキレイに剥ける方法を確立するまでには何十年もの歳月を要したようだ。
■みかんの缶詰はどうやって薄皮を剥いている?
Sirabee編集部が全国の10代〜60代の男女700名を対象に実施した調査では、全体で21.3%の人が「みかんの缶詰は製造工程でどのように薄皮を剥いているか知っている」と回答した。
なお男女別に見ると、男性は20.8%、女性は221.8%という結果になっている。
■酸とアルカリの作用でキレイに皮剥き
みかんの薄皮は酸とアルカリの2つの作用によってキレイに剥かれている。0.5%に薄めた塩酸と0.3%に薄めた水酸化ナトリウム溶液にそれぞれ漬けたあと、水洗し水にさらすことで薄皮はキレイになくなる。
処理に用いる溶剤には食品衛生法で食品添加物に指定されている純度の高いものを使用し、水洗によって製品には全く移行、残存しないので安心して食べられる。
日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、世界で初めてこの製造方法によってみかんの缶詰を作ったのは日本で、スペイン、中国など世界のみかん缶詰生産国でも日本の製造方式を利用しているという。
■日本初のみかんは外皮つきの糖蜜漬け
日本で初めてみかんの缶詰が作られた明治10年頃は、「外皮つき糖蜜漬缶詰」として、金柑の甘露煮のように外皮がついた状態でシロップに漬けられたものだった。
明治30年頃には、外皮を手剥きして丸のまま詰めた「みかん缶詰」が製造されて市場にも出回ったが、売れ行きはあまり良くなかったようだ。
その後、内果皮をアルカリで剥皮した「みかんシラップ漬缶詰」が作られたが、アルカリのみでは全ての内皮を取り除けず、残った部分は手作業で取り除いていたという。
■昭和初期に現在の製造方式が確立
こうした試行錯誤を経て、昭和初期に四ツ菱食品㈱が酸とアルカリを併用してみかんの内皮をキレイに剥くことに成功したのだ。
艶々でツルツルのあのキレイなみかんの粒感が楽しめるのは、こうした試行錯誤と努力の道程があったからだと思うと、ゆっくり食感を楽しみながら食べなければもったいないような気がしてくる。
いままで気にすることなく食べていた人がほとんどであろうみかんの缶詰。次に食べる機会があれば、その歴史に思いを馳せつつ、かわいらしい粒感を愛でてみてはいかがだろうか。
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(文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女700名 (有効回答数)