狂犬病の唯一の有効手段・ワクチン その開発者を知る人は1割以下だった…
発症すれば有効な治療法はなく、ワクチン接種で発症を防ぐしかないという。
■狂犬病のワクチン開発者、知っている?
Sirabee編集部が全国の10代〜60代の男女700名を対象に実施した調査では、全体で4.6%の人が「狂犬病のワクチンを開発したのはどんな人か知っている」と回答した。
なお男女別に見ると、男性は5.8%、女性は3.1%という結果になっている。
■もし、狂犬病を発症すると…
狂犬病について、国立感染症研究所のHPには「狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入、および極めて稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって発症する人獣共通感染症である」と説明がある。
潜伏期間は1か月から3か月程度で、発症すると有効な治療法はなくほぼ100%死亡すると言われている。発熱、頭痛、倦怠感などの風邪のような症状に始まり、幻覚、錯乱、恐水発作などの症状を引き起こし、最終的には昏睡状態から呼吸停止で死に至る。現在も世界中で年間数万人が死亡しているという。
■フランスの学者ルイ・パスツールが開発
そんな恐ろしい病気を防ぐ狂犬病のワクチンを開発したのは、“近代細菌学の祖”とも言われている、フランスのルイ・パスツールだ。
光学異性体の発見やラセミ酸の合成成功、低温殺菌法の開発など数々の功績を経て、炭疽菌や狂犬病のワクチンを開発。1885年、狂犬に噛まれて傷を負った少年へワクチンを投与したところ発症を免れ、これが第1号の成功例となった。
この成功の後、パスツールはフランス科学アカデミーに狂犬病ワクチンの完成を論文で発表し、世界中で多くの人が救われていくこととなる。有効な治療法がない狂犬病においては、ワクチンによって発症を防ぐことが唯一の命を救う手立てとなる。
■国内での狂犬病ワクチン接種率低下に警鐘
しかしながら、長きに渡って日本国内で狂犬病が発生していないことから、危機意識の低下がみられるようだ。1990年代初頭には100%であった狂犬病ワクチンの接種率が、2000年には8割を下回り、2022年のデータでは7割近くまで下がっているというのだ。
WHOは狂犬病のまん延を防ぐためには、接種率を70%以上に保つ必要があると述べており、日本は危険水準の瀬戸際に立たされている。2024年2月の、狂犬病ワクチン未接種の犬に複数の小学生が噛まれたというニュースも記憶に新しい。
室内飼いであっても散歩中に何が起こるかはわからない。大切な飼い犬や周囲の人のためにも、狂犬病予防法に則って狂犬病のワクチンを接種しておきたい。
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(文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女700名 (有効回答数)