『Exorcist: Reviewer of Minds』プレイレビュー 絶対に名前を呼ばれたくない悪魔vs罪を暴かれたくない悪魔祓いの知略バトル
退治されたくない悪魔が廊下をめちゃくちゃ引き伸ばしてくるロジカル祓魔(ふつま)ゲームで遊んでみました。
Sirabee読者の皆さんこんにちは、苗字に幽霊という文字が入っていても幽霊モノのホラー映画はあまり得意じゃない系VTuberの幽霊坂ゆらぎです。
ホラーは得意ではないものの、夏になると無性にホラーゲームがやりたくなるので、今回はホラーっぽいテイストもありつつしっかりと頭を使う悪魔祓いゲーム『Exorcist: Reviewer of Minds(エクソシスト・レビュア・オブ・マインズ)』をレビューしていこうと思います。
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■ホラーのようでホラーではない
本作はこれまでに『Playable Mockup』『国際指定怪異123号 廃村』などをリリースしてきた、個人ゲームデベロッパ「727 Not Hound」さんの新作になります。
この方の作品はかなりクセが強い作品が多く(そこが魅力なのですが)、本作もその例に漏れず「祓魔(ふつま)体験シミュレーション」という、他に類を見ないジャンルが目を引きます。
『廃村』でも見られた荒めのグラフィックに陰影のメリハリが強い独特のタッチが特徴で、「祓魔」と呼ばれる悪魔祓いへの没入感を高めてくれます。
ゲーム全体に漂う雰囲気はかなりオカルト寄りのホラーなのですが、実際には本作のメイン要素はホラーではありません。ここ重要です。
もちろんデザイン面で狙った不気味さなどはありますが、急なびっくり演出で怖がらせる「ジャンプスケア」的な演出はありませんし、悪魔祓いそのものはどちらかというと頭を使ったタイマンバトルです。
というのも、本作に興味はあるけど「怖そうだから」「ホラーだと思って」プレイできないという人が私の観測範囲に多かったんですよね。
本作は雰囲気こそ不気味ですが、悪魔のビジュアルも慣れるとどことなくキモカワ系に見えてきます。怖そうだと思って手が出せていない人は、私の言う事を信じてレッツトライ!
■名前を当てて悪魔を祓う
本作のメイン要素である「祓魔」は、論理パズルとローグライクのようなランダム要素・運を掛け合わせたものとなっています。
プレイヤーは悪魔を祓う者、つまりエクソシストとなって子供にとり憑いた悪魔を「祓魔」するのが目的ですが、悪魔もただ祓われたくはないのでこちらを妨害してきます。
子供にとり憑いた悪魔は「寝室の悪魔」と呼ばれ、寝室に続く廊下に配置された悪魔は「廊下の悪魔」と呼ばれています。ざっくりボスと雑魚の関係だと思ってください。
寝室の悪魔はエクソシストを遠ざけるために長い廊下を生成します。プレイヤーは悪魔だらけの廊下をズンズン進みながら寝室を目指す、簡単に言うとそんなゲームです。
ではプレイヤーはどのようにして祓魔すればいいかと言うと、目の前にいる悪魔の「正しい名前」を呼べばOKです。直接拳で戦ったりする必要もなく、とても簡単ですね。
とはいえ、悪魔が素直に名前を教えてくれるわけがありませんよね。そこで登場するのが「聖句」と呼ばれるお助けアイテムのような存在です。
聖句には様々な種類があり。基本的に使い切りですが「相手の悪魔の出身地を問う」「姿を隠した悪魔の正体を暴く」などの効果を持ちます。
また、最初から持っている「聖典」には出現する全ての悪魔の名前や出身地、級位や見た目などが記されているので、聖句で得たヒントを元に時にロジカルに推理、時にはあてずっぽうで悪魔の名前を呼んでいきましょう。
■実際のプレイ体験
ここまでで大体のゲームの流れは説明したのですが、これだけでは一体どんなゲームなのかわからないと思うので、実際に私が遊んでいるところをお見せするのが早いかもしれません。
これは私が初めて初級の難易度で遊んだ時の様子です。ドアは全部で6つであり、一番奥の部屋はロックされているので、手前から一つの扉を選んで入ってみました。
部屋に入るといきなり寝室の悪魔がいますが、こちらが聖なる十字架を掲げると悪魔に部屋から追い出された上、廊下をめちゃくちゃに長くされてしまいました。向こうも祓われたくないので必死です。
ここからがゲームスタートです。開始時に表示されるろうそくの数によると、どうやらこのエリアにいる悪魔の数は全部で5体。これは寝室の悪魔込みの数字のようです。
そのまま廊下を進んでいると、「ホーム」「レイン」の聖句を引きました。ホームは相手の出身地を聞くことができるため、悪魔の正体の特定に役立ちます。
続いて廊下の悪魔に遭遇しました。悪魔祓いはターン制で、こちらが動かなければ向こうが動くことはありません。落ち着いて行動しましょう。
悪魔に出会った時に大事なのはまず聖典を参照すること。そのエリアにいる全ての悪魔の情報が載っていますし、ターンを消費することもないのでじっくり考えましょう。
どうやら聖典によると、目の前にいる悪魔と同じ見た目をした悪魔は「ヴァサゴ」しかいないようです。
なんと聖句を使う事もなく特定が完了してしまいましたが、これは初級ということもあり、かなり簡単なケースを引いてしまいました。
そのまま進み続けると、早くも寝室の悪魔に遭遇。寝室の悪魔は初期状態では姿が見えず厄介ですが、道中で使えそうな聖句も補充できていたので、まずは「ホーム」で出身地を尋ねてみることにしました。
聖句の効果により寝室の悪魔は「ズプス」出身だと判明しました。
聖典によるとズプス出身の悪魔は「ベネウス」しかいないので、これで寝室の悪魔がベネウスだと特定できたことになります。無事に正しい名前を呼ぶことができれば画面いっぱいに「祓魔」の文字が出て悪魔祓いは完了です。
この演出が最高にかっこよくて気持ちいいので、エクソシスト本人になった気持ちで声に出して読み上げることをオススメします。
ここまでは少しあっさりとしすぎていたので、別の部屋の寝室の悪魔との闘いも紹介しておきましょう。
まずは聖句「ファクション」を使って、相手の級位が奇数が偶数かを割り出しました。これだけで候補を半分に絞れる、強力な聖句です。
どうやら寝室の悪魔の級位は奇数のようです。既に廊下で級位1のオリウェを祓っていたため、残る候補は級位3の「エリパル」と級位5の「アムドゥジェ」に絞られました。
他に推理の材料がなく、聖句なども尽きていた場合、ここで確率50%のギャンブルに出るのも手です。
特定に失敗すると、悪魔はプレイヤーの「大罪」や「小罪」を一つ暴いてきます。これらはライフのようなもので、小罪はいくらバレても大丈夫ですが、大罪を二つ暴かれてしまうと問答無用でゲームオーバーです。
ただ、暴かれる罪はルーレットで決まる上、特定に失敗した後は再び廊下から始められるので聖句を補充して帰ってくることが可能です。
今回は聖句に余裕があるので、このまま特定を進めていきましょう。手札には「ディバイド」という聖句があり、効果は「相手の級位が4から8にあるかを問う」というもの。
つまり、4から8であれば級位5のアムドゥジェであり、4から8でなければ消去法で級位3のエリパルであることが確定するというわけです。前述の「ファクション」と併せることで非常に強力な聖句ですね。
聖句の力には逆らえず、寝室の悪魔は自ら「級位4から8位内」であることを自白しました。さぁ、大きな声で名前を呼んであげましょう、「アムドゥジェ!」と……。
こうして、寝室の悪魔をもう一体、見事に祓うことができました。
クリアには全部で6つの寝室の悪魔を祓う必要がありますが、一つの部屋にかかる時間は3分~5分程度と短いため、非常にサクサクと周回プレイできるのも本作のいいところです。
■高難易度はかなりの歯ごたえ
本作はこのように論理パズル的な要素が強いのですが、入手する聖句や悪魔の種類などはランダムなため、目の前の悪魔を特定しきれずに「この中から適当に選ぶしかない」という状況がしばしば訪れます。
また、高難易度になると使える聖句が限られていったり、寝室の悪魔が1回名前を呼んだだけでは祓えなくなるなど、よりランダム要素が強くなり、知識や経験だけでなく運も絡んできます。
私の拙い紹介でどれだけ魅力が伝わったか不安ですが、本作『Exorcist: Reviewer of Minds』は、作品の醸し出すダークでディープな雰囲気に惹かれた人や、頭を使う論理パズルが好きな人、もしくは運と知略が絡み合うローグライトが好きな人にオススメできる一本です。
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(文/Sirabee 編集部・幽霊坂ゆらぎ)