筋力トレーニング、筋肥大のトレーニングは、普通セット単位で行なうものです。一定の回数(レップ数と呼ばれる)ウェイトを持ち上げ、そのあとウェイトを下ろして休憩し、また再開するというものが一般的でしょう。
この時、どれくらいのインターバル(休憩時間)をとるのが良いのでしょうか。これは、ワークアウトの目的など、いくつかの要因によって異なるのです。
パワーリフティングをする人がスクワットのセット間に5分空けたり、自重トレーニングをする人がプルアップのセット間に、30秒のタイマーをセットしたりするのには、それなりの訳があります。
ただし、インターバルの長さは普通の人にはさほど重要ではないという説もあるようです。ここでは、さまざまなトレーニングに最適なインターバルを見ていきましょう。
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筋トレに最適なインターバル
重いウェイトを上げられるようになるには、それを持ち上げる練習を重ねる必要があります。筋トレには、数字が重要です。
同じ重さのウェイトを20回ベンチプレスできる人が2人いたとして、1人は重いシングル(1回のみのセット)でトレーニングを行ない、もう1人は行なわなかった場合、どちらがより重いウェイトをベンチプレスできるか競ったら、当然より重いウェイトでトレーニングしてきた人のほうが優位でしょう。
つまり、筋力をつけることが目的なら、より重いウェイトを使えるようトレーニングを重ねる必要があります。どれくらいのウェイトを持ち上げられるか、その最大の要因はインターバルの長さです。
インターバルを(常識的な範囲で)長く取れば取るほど、次のセットまでに回復していることになります。インターバルを1分しか取らなかった場合、次にウェイトを持ち上げた時には体力がまだ回復しきっていません。
ところが、長め(軽く簡単なエクササイズなら2~3分、全身の筋肉を使うような重いリフトなら5分以上)にインターバルを取ると、より重いウェイトが持ち上げられるようになります。
筋力増大のためのインターバルには、大抵のエクササイズでは3~5分が良いでしょう。バイセップス・カールなど、小さい筋肉や少ない数の筋肉を使うセットでは、インターバルも短めで構いません。
マックスエフォート・デッドリフトのように、体の大部分の筋肉を総動員して重いウェイトを持ち上げるようなセットでは、さらに長くインターバルを取るのがベストです。
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筋肥大のためのインターバル
ハイパートロフィー(肥大化)とも呼ばれる筋肥大のためのインターバルに関しては、もう少し複雑になります。これまでは、90秒以下が目安だと言われてきました。
NASM(National Academy of Sports Medicine、全米スポーツ医学アカデミー)では0~60秒、NSCA(National Strength and Conditioning Association)やACE(American Council on Exercise)から出版されているパーソナルトレーニングの教科書では、いずれも30~90秒が推奨されています。
ところが、筋肥大に関しては、短いインターバルのほうがよいとは限らないという研究結果もあるのです。2016年の研究では、インターバルを3分間取るほうが1分間取るよりも筋肥大につながることが確認されました。
これは、3分間のグループの男性(研究対象は男性のみ)のほうが、1分間のグループに比べて、より重いウェイトを使うことができたからだと著者らは推察しています。
両グループとも行なったセット数は同じだったので、3分間インターバルのグループの方がより多くのウェイトを持ち上げたことになります。
しかし、インターバルをどう設定するかは、そのほかの要因を考慮すべきとも、著者は述べています。以下はその一例です。
・インターバルを短く取ると、一定時間内により多くのセット数をこなすことができる(トータルでより多くこなせるため、筋肥大につながる)。
・インターバルを短く取ると、やや疲労が残る状態で次のセットを開始することになるので、オールアウト(これ以上上げられないというところまで追い込むこと)になる。オールアウトでは、より多くの運動単位(運動ニューロンと筋繊維)を使うので、筋肉の「代謝ストレス」を高め、より筋肉の発達につながる可能性がある。
・インターバルを長めに取ると、より重いウェイトでセットをこなせるため、筋力と筋肥大のどちらも促す。
・インターバルが長いと、トレーニング時間が長くなってしまう可能性もあるので、時間に余裕がない人にとっては、すべての筋トレ種目でインターバルを長く取るのは難しい。
ここまで述べてきた要因はいずれも相反するように見えますが、すべて同時に該当するとも言えます。さらに難しいことに、これらの結果は人によって差異があるとも研究者は述べており、万人に当てはまる解決策はないようです。
結局のところ、長いインターバルと短いインターバルの両方を取り入れるのがベストのようで、事実そのように組まれているメニューが数多くあります。
たとえば、ワークアウトの前半に行なう大きなコンパウンド種目(スクワットやベンチプレスなど、複数の筋肉・関節を使う種目)では長めのインターバルを、後半のアイソレーション種目(カールやグルートブリッジなど、単一の筋肉・関節を使う種目)では短めのインターバルを採用するといいでしょう。
筋肥大を目指すワークアウトでのインターバルでは、通常1分ほど(または30~90秒)のインターバルが推奨されていますが、2分以上のインターバルを組み込んだ種目もいくつか取り入れるのがいいでしょう。
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特定の種目のためのインターバル
「もっと筋力をつけて、筋肉を大きくしたい」という人にはどんなインターバルが良いのでしょうか。以下にまとめてみました。
腕立て伏せ、プルアップ
12回以下のレップ数でしっかり負荷をかけて行なう場合は、セット間には3~5分のインターバルを。
一度に20~50回もレップを行なう人は、インターバルを1分程度にとどめ、まだ疲労が残っている状態で次のセットを行なうようにすること。
次のセットが短めになり、日が暮れるまでにワークアウトを終えられるでしょう。
バーベル・スクワット、デッドリフト
これらは体の中の多くの筋肉を使うコンパウンド種目。ほとんどの場合、比較的重いウェイトを使って行なわれます。インターバルは3~5分取りましょう。
ベンチプレス、オーバーヘッドプレス、チェストプレス、ショルダープレス
スクワットやデッドリフトに比べ、より小さい筋肉がターゲット。より軽いウェイトで行ないますが、コンパウンド種目です。
大抵の場合、2~3分のインターバルで十分ですが、より重いウェイトを使うセットでは必要に応じて最長5分のインターバルをとっても良いでしょう。
ロウ、ラットプルダウン
プレスの場合と同様、同じ理由で2~3分で十分。ただし、最大5分でもOK。
アイソレーション種目
バーン(焼けるような痛み)やパンプアップ(筋肉がパンパンの状態)を達成するには、短いインターバルが効果的。
インターバルは30秒を目安に。
これらはあくまで目安なので、いろいろ試してみましょう。有酸素運動のコンディショニングが目的なら、インターバルは短めにしてください。
ベンチプレスで大きいセットをこなしたあとは、短めのインターバルで腕や胸の小さい筋肉に集中しましょう。
Source: NASM, PubMed