洗濯後のTシャツ、3割の人が違和感覚えてた 白と黒で「縮み方が違う」説を検証すると…
3割以上の人が、白と黒のTシャツでは「洗濯後の縮み方が違う」と感じていることが判明。 日本染色協会は「色ごとの因果関係は薄い」と推測する。
■白と黒でこんなに差が…
実験で使用するのは、洗濯前の着丈が67.7cmの白いTシャツと、65.7cmの黒いTシャツ。同サイズにも関わらず、洗濯前から既に結構な差が開いているが、個体差が大きいのも海外製バンドTシャツの魅力であり、もはやご愛嬌である。
まずは、一度も着用せずネットに入れて洗濯し、屋外で自然乾燥させると、白いTシャツは67.5cmに、黒いTシャツは64.8cmに縮んでいた。
続いてはそれぞれを1日着用し、同様に洗濯・自然乾燥を行ったところ、白いTシャツは変化なしの67.5cm、黒いTシャツは64.5cmとなっていた。トータルで白は0.2cm、黒は1.2cm縮んだワケである。
念のため他のTシャツでも同様の実験を行ったところ、いずれも白いTシャツは0.2cm〜1.0cm、黒いTシャツは1.0〜3.0cmの縮小となった。
黒は白よりも熱を吸収するので、その影響もあるのでは…とも考え、水色のTシャツで計測すると、こちらは-2.7cmと、黒に匹敵する縮み方を見せた。
ここで「洗濯後のTシャツの縮み方」に関する意識調査の結果を見てみよう。
調査の結果、洗濯後により縮みやすいのは「白いTシャツ」と感じている人は全体の19.7%。「黒いTシャツ」と感じているのは全体の11.0%と判明した。
約7割の人は「特に違いはない」と感じているようだ。前出の実験も踏まえ、記者個人としては「黒のほうが縮みやすい」と感じていたため、この結果はなかなかに意外であった…。
■やはり「染料」が原因なのか?
この調査結果を受けて、日本染色協会の担当者は「先に結論を申し上げますと、染料が綿に与える影響はよくわかりません」と断言。
「推論として扱って頂きたいのですが…」と前置きしつつ、「染料が綿の物性に影響を与えるのであれば、然るべきデータがあると思います。ないのであれば、因果関係は薄いと考えるのが妥当です」と、その背景について説明している。
続けて「Tシャツはとても伸縮性に富んでおり、縦方向にも横方向にも伸び縮みするので、バランス良く仕上げる必要がございます」「そして、生地の物性は加工履歴が大きく影響します。白は染色しないので他の染色品とは工程が異なり、収縮挙動も変わりますが、最終仕上時に収縮基準に収まるよう調整するので、白も色物も同一工場で加工したのであれば収縮に問題は無いはずです」と、分析してくれたのだ。
担当者は「縮んだ経験がある方は粗悪品を購入したか、取り扱いが雑であったと推察いたします」ともコメントしている。
念のため「染料」以外の観点から要因を探るべく、衣料品、服飾雑貨、家具等を対象とした性能評価を行う第三者試験機関・一般財団法人「ボーケン品質評価機構」にも同様の取材を打診したが、同機構にも「色毎の伸縮性の差異」に関するデータは存在しないとのことであった。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)
対象:全国10代~60代男女706名 (有効回答数)