『アンチヒーロー』、明墨の法廷での“ある行動”に疑問の声 弁護士は「威迫と受け取られる可能性」
日曜劇場『アンチヒーロー』の法廷でのシーンに疑問を抱く人の声が。弁護士に取材したところ、リアルな裁判との違いが明らかになって…。
■弁護士は「威迫と受け取られる可能性」
作中では、明墨が検察側の証人に至近距離で迫り、不敵な笑みを浮かべるシーンが印象的。ただ、実際の法廷でこうした行動は裁判に影響を与える可能性があるという。
森崎弁護士からは、「証人尋問は、証人が実際に見聞きし、体験した事実に関する供述を証拠として裁判に用いる手続きです。そのため、顔を近づけるなどのように、証人の素直な証言ではない、過度の圧力がかかった状況での証言については、その真実性などに疑問が生じてしまいます」という回答が寄せられている。
仮に、そうした行動を取った場合、リスクもあるようだ。森崎弁護士は、「歩き回るケースと同じように裁判官から止められ、席に戻るよう指示されると思います。なお、証人に対する圧力は、場合によっては、証人に対する威迫などと受け取られたり、質問内容によっては尋問で禁止されている事項に該当して、裁判所からたしなめられることもあります。通常は、そうなる前に検察官などから異議が述べられたり、裁判官から質問の仕方を変えるよう指摘されると思います」と話す。
ドラマでは緊張感のあるシーンを表現するため、あえてそうした言動を描いているのかもしれない。
■今後の展開に期待
ちなみに、森崎弁護士も『アンチヒーロー』は欠かさず見ているという。森崎弁護士は、「ドラマは面白く見てもらうために、現実とは違う演出もされていると思います。現実を知ることで、さらにドラマの見方の幅が広がってもらえたら嬉しいです」と笑顔を見せる。
取材の最後に、森崎弁護士から、「事件の一つ一つに様々なドラマがあるので、社会で起きている事件一つについても、その背景にある人間ドラマに思いを馳せて見てもらえたら嬉しいです。『アンチヒーロー』も今後、どのような展開を見せるか楽しみですね」というコメントが得られたのが印象的だった。
リアルな裁判事情を知ってから見ると、『アンチヒーロー』がさらにおもしろくなるかもしれない。
■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。旧ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。
チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。
今期の推しは、『95』(テレビ東京系)、『Believe─君にかける橋─』(テレビ朝日系)、『イップス』(フジテレビ系)、『アンチヒーロー』(TBS系)。
・合わせて読みたい→『虎に翼』優三の生存にまつわる通知書 ラスト1分で見えた“ある事実”が「残酷すぎる」
(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人 取材協力/<a href="https://c-ens.jp/">弁護士法人「C-ens 法律事務所」代表・森崎秀昭弁護士)