全国216台設置のラーメン自販機、開発秘話が最高 「二郎系を買う女性が…」関係者が明かす反響

全国各地で見かける冷凍ラーメンの自販機「ヌードルツアーズ」。スタートから3年の反響を取材した。

2024/05/19 16:00

■冷凍ラーメン自販機爆誕の理由は…

取材に応じてくれたのは、丸山製麺の取締役・丸山晃司さん。丸山さんによれば、製麺会社の丸山製麺は長年、ラーメン店などの飲食店や社員食堂、駅の立ち食いそば店と取引しているという。

2020年の新型コロナウイルス感染拡大で既存の売上が落ちたため、新規事業の一つとして「ヌードルツアーズ」を始めたそうだ。

ヌードルツアーズ

丸山さんは、「大切な取引先であるラーメン店が営業時間短縮で苦戦していたことも大きいです。人材や材料が揃っているのに営業できない状態だったので、店のスープを買い取って、何かできないかと考えました」と振り返る。

当初、通販で冷凍ラーメンを販売したものの、中々上手くいかなかったという。丸山さんは、「ラーメンは食べたいと思ったタイミングで食べる傾向が強いです。通販だと食べたいと思ってから届くまで時間がかかりますし、送料も1食2,000円前後かかってしまいます。食べたい時に買いに行き、送料もかからない自販機と相性が良いと思ったんです」と説明する。

かくして、24時間365日利用できる冷凍ラーメン自販機が爆誕したのだ。

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■「二郎系を買う女性が…」関係者が明かす反響

「ヌードルツアーズ」はラーメン店からスープを買い取り、麺は自社で製造する形を取る。実際に自販機で販売するまでには、時間を要したようだ。

丸山さんからは、「自宅でお店の味を完全再現することを謳っているので、麺に妥協できません。店で使われている麺をサンプルでいただき、試食を繰り返しながら店主の方に了承いただくまで開発を続けました。了承いただくまで半年かかったこともあります」と、苦労を窺わせるコメントが寄せられている。

ヌードルツアーズ

ラーメン店の客層は男性が多い傾向にある。「ヌードルツアーズ」の利用者には、新たな傾向も見受けられるという。

丸山さんは「地方では、一般的にラーメンを好むとされる30~50代の男性が多いです。一方、都心では、女性やファミリー層の方が多数見受けられます。お子様がいるとカウンター席のみの店には行きにくいです。また、お店で残すことを恐れて行けなかった女性が二郎系のラーメンを気軽に買えるようです。家族でシェアして食べることもできますからね」と話す。

スタートから3年経ち、新型コロナの感染拡大が落ち着いたこともあり、「ヌードルツアーズ」を取り巻く状況も変わっているようだ。

丸山さんからは、「当初は首都圏に設置することが多かったですが、最近はラーメン店が少ない地方に置くことも増えています。コロナ禍の『店がやっていないから買う』というニーズから、『地方でも家の近くで有名店のラーメンを食べたい』というニーズに変わっています」という回答が得られた。

5月時点で「ヌードルツアーズ」は全国に約216台設置している。これからも、美味しい冷凍ラーメンを食べる機会が増えそうだ。

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■執筆者プロフィール

斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。

某週刊誌の芸能記者を経て現職に。旧ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。

チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。

今期の推しは、『95』(テレビ東京系)、『Believe─君にかける橋─』(テレビ朝日系)、『イップス』(フジテレビ系)、『アンチヒーロー』(TBS系)。

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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人

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