観客席で授乳する女性客に演者が退出願い 「ひどい扱い」「劇場が悪い」と論争に
コメディの上演中、女性客が観客席で授乳を始めた。その様子に気付いたコメディアンが退出を求めると…。
オーストラリアで、コメディ公演を観劇中に授乳を始めた女性客が、会場から退出することになった。『NBC News』『New York Post』などが報じている。
■上演中に授乳した女性客
アメリカ人の男性コメディアンが、オーストラリア・メルボルン開かれた国際コメディフェスティバルに参加。20日夜に、同地の劇場でスタンダップコメディ(客席に向かいしゃべりかける芸)を披露した。
その公演チケットを購入したメルボルン在住の女性は、生後7ヶ月の娘を連れて劇場へ。同劇場は850人ほどを収容でき、当日はほぼ満席だったと伝えられている。
女性は娘とともに、出口に近い通路側に着席。公演が始まって15分ほど経過したころ娘がぐずり出したため、その場で授乳を始めたという。
■「ジョーク」で退出求められ…
すると男性コメディアンは女性の行動に気付いたようで、マイクを持ったまま女性の元へやって来て、「私が赤ちゃんの代わりに話します。『外に連れて行って』」とジョークを飛ばした。会場からは笑いが起こったという。
これに対し女性客が「私に退出を求めているの?」と聞き返すと、男性コメディアンは「はい。そうです」と返答。そのままステージに戻って行ったが、しばらくして再び女性の前にやって来たかと思うと、今度は観客をあおって味方につけながら退出を求めた。
女性は恥ずかしさから、会場を後にした。すると男性コメディアンの態度を問題視する観客もいたようで、10人以上が女性に続いて会場を去ったという。
■「ヤジが飛ぶ中での退出は不快」
男性の一連の対応に不満を抱いていた女性は、自身の体験をメディアに話すことにしたようだ。
当時の心境を、「母親になってから自分の時間がなく、公演を楽しみにしていました」「娘の声はうめき声程度で、誰かが咳をするよりも小さかったんです」「ヤジが飛ぶ中で退出するのは気持ちのいいものでなく、こんなひどい扱いされる覚えはありません」と、各社取材に語った。
続けて、「追い出されるのは仕方ないと思いますが、ネタにせず丁寧に『退出していただけますか』と言ってくれたら、すぐに退出しましたし、ここまで問題にしなかったと思います」などと、男性コメディアンを批判している。
■コメディアンは劇場側を批判
女性の訴えを受けて、男性コメディアンは「公演中、赤ちゃんの話すような声が聞こえました。一度目はやり過ごしたんです」「二度目に声が聞こえた時、集中できないと思い、難しい決断をせざるを得なかったんです」「この決断は女性が授乳したからではありません」と説明した。
さらに「退出をお願いしたときに、チケット代の返金を伝えました」「そもそも私の公演は15歳以上を対象としており、チケット購入時のサイトや、チケット上にも『観客は15歳以上の方』と表記していたはずです。劇場側が乳児連れの女性を会場に入れる前に対応すべきでした」と、劇場側の対応を批判している。
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(取材・文/Sirabee 編集部・宮 ちてら)