著名霊能者を装った霊感商法詐欺犯に実刑 メーリングリスト悪用で130万人以上が被害
アメリカの高齢者らを狙って20年にもわたり霊感商法を営んでいた男に、10年の実刑判決が下された。被害総額は、約290億円にも上るという。
アメリカで、130万人以上の被害者を出したと伝えられている霊感商法詐欺の容疑者に、実刑が下された。『Office of Public Affairs US Department of Justice』が公表している。
■霊感商法による詐欺
カナダとフランスの国籍を持つパトリス・ランナー(57)という男に、郵便詐欺やマネーロンダリングなど複数の罪で10年の実刑判決が下った。
ランナーは1994年から2014年にかけて、アメリカに住む高齢者や脆弱な人々をターゲットに霊感商法を行っていた。著名な霊能者であるマリア・デュバルとパトリック・ゲリンを装って「援助と引き換えに莫大な富と幸福が手に入る」と書いた手紙を送付。一度送金した人々には、継続的に「個人的なお告げ」と称する有料のサービスを紹介する手紙も送ったという。
これにより被害を受けた人は130万人以上いると見られ、被害額は1億7,500万ドル(約286億2,400万円)にも上ると伝えられている。
■メーリングリストによる計画的犯行
警察の調べによると、ランナーは高齢者の情報が記載されているメーリングリストを入手し、狙いを定めて手紙を送っていたようだ。
名前を悪用された霊能者たちは、手紙を送ったことも、被害者たちから返答を受け取ったこともなく、事件には関与していないことが判明した。
ランナーは犯行に及んだ20年間、スイス、フランス、オランダ、コスタリカ、スペインといった諸外国を転々として暮らしていたという。カナダと香港に登録されているダミー会社は、共謀者たちとともに詐欺を行うための隠れみのだったと見られている。
■警察が詐欺への注意喚起
警察によれば、この事件に関与したとみられる共謀者4人もすでに逮捕されている。USPIS(アメリカ合衆国郵便公社)フィラデルフィア支部の主任検査官であるクリス・ニールセンさん、「このような略奪的なスキームがアメリカの郵便機関に影響を与えないことを信頼していただけるよう、努力を続けます」とコメントしている。
また、民事局消費者保護支部は、消費者に霊感商法詐欺、宝くじ詐欺、懸賞通知詐欺などに気を付けるよう呼び掛けている。
詐欺師は、公式名称に似せたり、実際の宝くじや懸賞の名前を使用したり、政府職員を装ったりすることもあるという。当局は、手数料と引き換えに多額の賞金を約束する電話、手紙、電子メールなどを受け取った場合に、応答しないよう注意喚起している。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)