チェチェン共和国がテンポ速すぎ・遅すぎ音楽を禁止 人権問題に関する懸念も
チェチェン共和国で、音楽のテンポを規制する法律が定められた。多くのポップスやダンス音楽が禁止対象となる。
ロシア南部のチェチェン共和国が、テンポが速すぎる、または遅すぎる音楽を全面的に禁止すると発表した。自国の文化保護を目的としているが、世界中のポップスやダンスミュージックが規制対象となる見込みで、物議を呼んでいる。『CNN』や『Sky News』が伝えている。
■文化遺産保護が目的
チェチェン共和国のムサ・ダダエフ文化大臣は、すべての音楽、ボーカル、振付作品のテンポを1分あたり80〜116拍子に制限する法律を最終決定した。
これはラムザン・カディロフ共和国首長の承認を得たもので、ポップスやテクノなど幅広いジャンルの音楽が、事実上禁止されることになる。
■表現の自由を脅かす懸念
当局側はこの措置が、チェチェン国民の「メンタリティと音楽のリズム」に合わせ、チェチェン文化遺産を次世代に伝えることが目的だと説明している。
しかし、チェチェン国内外から疑問の声が上がっている。芸術分野では作品のテンポや表現の自由が重視されてきただけに、一定のテンポに合わせることを義務付ける今回の措置は、音楽表現や創作の自由を脅かすのではないかと危惧する声も根強い。
■人権問題にも関わるか
さらに、チェチェン共和国の人権問題に向けられる国際社会からの懸念という視点からも、注目が集まっている。
カディロフ政権下では近年、反体制派への弾圧や、LGBTQの人々への虐待が常態化していると指摘されてきた。虐待については、2017年には国連が当局に対し調査を求めている。
またアメリカも2020年に、カディロフ政権による人権侵害を理由に、制裁措置を科しているという背景がある。
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(文/Sirabee 編集部・ジェス タッド)