皆既日食を13回観測してきた105歳男性 自作望遠鏡を手に家族と観測旅行も
105歳の男性が今年、13回目になる皆既日食の観測を果たした。家族も連れ、多くの地で目にしてきたという。
アメリカ・テキサス州在住の男性が、人生を皆既日食の観測にかけているという。『People』『NewYorkPost』がレポートした。
■皆既日食を観測して60年
テキサス州に住むラバーン・ビザーさん(105)は、60年間にわたって可能な限り皆既日食を追いかけてきた。13回目となった今年4月8日の皆既日食は、偶然にも自宅の近くで観測できるという絶好の条件が揃ったそうだ。
ビザーさんはオハイオ州で育ち、少年時代に家族が経営する農場で見る星々に魅了された。農場は夜になると真っ暗になり、北斗七星やオリオン座を含むあらゆる星座が見えたそうだ。
その後はオハイオ州立大学で機械工学を学び、カリフォルニア州で働いた後、最終的にテキサス州に移住。そして昨年亡くなった妻のマリオンさん(享年97)と結婚し、3人の子供に恵まれた。
ビザー家にとって、家族旅行を兼ねた皆既日食の観測旅行が、長年にわたる恒例行事になっていったという。
■4800キロの観測旅行も
ビザーさん一家が最初に皆既日食の観測旅行に出かけたのは、1963年のこと。メイン州までの約3,000マイル(約4,800キロ)の道のりを、車で移動するロードトリップだった。
ビザーさんは自作の天体望遠鏡を持参し、皆既日食のために「観測ステーション」を組み立てるのがルーティーンだった。当時、人里離れた農家の一角に設置したことを、今でも鮮明に覚えているという。
この観測を皮切りに、ビザーさんはアメリカ国内で観測し得る皆既日食のすべてに立ち会った。「サンタローザ、ニューメキシコ、ネブラスカ、アラバマへは車で行きました」と振り返る。また、クルーズ船の旅で観測したこともあるそうだ。
娘のキャロルさん(76)は、家族旅行のおかげで高校卒業までにアメリカの49州を訪れたこと、自身の結婚式の日程を相談した際にビザーさんから「早めの日を選ばないと、皆既日食で私は出席できない」という趣旨の返答を受けたことを明かしている。
■2026年の観測へ意欲
人生をかけた皆既日食について、ビザーさんは「昼間のあの暗い空ほど素晴らしいものはない」と断言。次にアメリカで皆既日食が観測できるのは20年後であり、今年6月に106歳を迎えることから「私はもういないでしょう」とも話している。
しかし次の皆既日食は2026年8月12日と予測されており、グリーンランド、アイスランド、または大西洋上かスペインで見ることができるそうだ。そのため「次は飛行機に乗らないといけない」と、2026年の観測への意欲を新たにしている。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)