継父殺害の容疑者が選挙に出馬するも落選 「驚くほど接戦だった」と評論

オーストラリアで殺人の罪に問われている元市議会議員が、再選を目指し立候補。結果的に落選したが、22%の市民に支持されていた。

2024/04/10 06:30

選挙

継父殺害の容疑者となった元市議会議員が、選挙に再出馬したとして物議を醸していたが、結果は落選だった。それでも地元市民の22%からは支持されており、ある評論家は驚きを隠せないことを明かしている。『BBC』が伝えた。


関連記事:統一地方選挙”前半戦”の結果は納得? 1割は「民主主義の敗北」と絶望

■殺人の容疑者が立候補

オーストラリアのゴールドコースト地域の市議会議員だったライアン・ベールドン・ラムスデン氏が、殺人容疑で告発されているにもかかわらず地方自治体選挙に立候補した。

同氏は昨年8月、継父であるロバート・ラムスデンさんが自宅で殺害された事件で、容疑者として逮捕されている。現在は全額有給だが停職処分を受けており、弁護士は予備審問で無罪を主張する意向を示しているという。そのため追跡探知機のついたブレスレットを足首に装着しており、警察の監視下にある身となっている。

関連記事:新藤かなさん、選挙妨害など逆風乗り越え港区議選に初当選 「逆境だからこそ燃えた」

■地方自治体選挙に落選

そんななか3月に実施された地方自治体選挙に立候補したラムスデン氏だったが、結果は落選だった。立候補した背景は非常に異例だったものの、公式集計によると有権者の約22%は支持していたことが明らかとなった。

ラムスデン氏は『BBC』に対し、「この決定が、利己的や奇妙、あるいは権利があるとの賛否両論を受けたとしても、選挙に立候補したことに後悔はない」とコメントしている。

また当選したジョー・ウィルキンソン氏はラムスデン氏の件について、「彼の信用を傷つけないように言いたいが、在任期間中は良い仕事をしていた」と言及した。

ラムスデン氏は停職中も年間16万豪ドル(約2,400万円)の給与を全額受給しており、有罪判決が下るまでは、有権者には確固とした強制的権限がないことを物語っている。

関連記事:未成年や投開票日でもやりたい放題の落選運動 3割が「法律で禁止すべき」

■評論家「驚くほど接戦だった」

グリフィス大学准教授で政治評論家のポール・ウィリアムズ氏は、選挙が接戦だったことに驚きを隠せない。「ラムスデン氏が直面している法的問題を考慮すると、そもそも立候補するという選択に、驚いた人もいると思います」と語った。

さらに「そして、多くの人はラムスデン氏がこれほど良い成績を収めたこと、そして落選だったとしても接戦だったことに、驚かれると思います」とコメント。ラムスデン氏が個人的な支持を集めたことにより、ゴールドコーストでの今回の訴訟の結果を左右する可能性についても示唆した。

また、「有罪よりも推定無罪、つまり候補者には公正な審査が必要だという考えもある。しかし、有権者がどのように投票するかは決してわかりません」とも述べている。

・合わせて読みたい→統一地方選挙”前半戦”の結果は納得? 1割は「民主主義の敗北」と絶望

(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子

[増補改訂版]フルカラー図解『地方選挙-必勝の手引』【Amazonでチェック】