雪崩に巻き込まれ23時間後に生還したスキーヤー 14ヶ月後には歩けるまでに回復
偶然が重なり、雪の中での窒息の危機や寒さを耐え抜いた男性。決して眠らず、生きることに集中して命を繋いだという。
雪崩に巻き込まれ23時間も雪に埋まりながらも、奇跡的に救助されたスキーヤーが、14ヶ月の療養を経てスキーを再開。生死の明暗を分けた幸運と不屈の精神力について、『NY Post』と『Mirror』が伝えている。
■23時間後に生還
イタリア人スキーヤーのカルッチョ・サルトリさん(54)が、2023年1月にイタリアの南チロルにあるヴァル・バディア山脈のゲレンデで雪崩に遭遇。救出されたのは雪に埋もれてからなんと23時間後で、手足の骨折と凍傷はあったが、命に別状はなかったという。
それから14ヶ月が経過し、サルトリさんは歩行が可能になるまでに回復した。骨折した右足は全快に向かっており、右手の怪我が残っているが、「ほぼ無傷に近い」と語る。
■いくつもの幸運が重なる
医師は、サルトリさんが長時間にわたり、雪の重みやマイナス15℃の極寒に耐えたことに驚いている。
雪崩による死因のほとんどは窒息で、雪に埋まり8時間から10時間で死に至るといわれている。15分以内に救出された場合の生存率は95%だが、35分後には37%にまで落ち込む。
サルトリさんに関して特に謎とされるのは、ほぼ1日ものあいだ雪に埋もれていながら、どのようにして生存できたのかということだ。救助隊がサルトリさんを発見したとき、体温は23度、低体温症の第3段階「重度」の状態だった。
それでも生存できたのは、雪の表面に空気室が形成されたことで窒息を免れ、同時に極低温室のように外気温から遮断されたことが幸いしたようだ。
■強い精神力が命を繋ぐ
数多くの条件により生き延びたが、最終的にサルトリさんが助かった要因は、精神力の強さと生への強い意志のおかげともいえる。
サルトリさんは「あきらめてはいけない、眠ってはいけないと分かっていました」「サバイバル映画のように、妻や子供のことを意識的に考えず、とにかく生きることだけに集中しました」と振り返った。
生死にも関わる大事故を経験した当初は、「もしゲレンデに戻ったら妻や子供たちに殺される」と、家族の反対を気にしていたサルトリさん。しかしスキーはやめられず、「今年は何度かスキー登山をした」と認めている。
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(文/Sirabee 編集部・ジェス タッド)