物理学者スティーヴン・ホーキング博士が生前に警告 人類が直面する数々の脅威とは
ALSを患っても生涯研究に打ち込んだ物理学者のスティーヴン・ホーキング博士が、生前にAIの進化や異星文明の受け入れについて懸念していたという。
2018年に他界した物理学者のスティーヴン・ホーキング博士は、生前AI(人工知能)の脅威や、異星文明や地球温暖化などに関する警告を発していたという。『BBC』がレポートしている。
■AIへの懸念
イギリスの物理学者であるスティーヴン・ホーキング博士は、筋力が低下するALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症しながらも、ブラックホールなどの宇宙研究において多くの功績を残した。
そんなホーキング博士は、「遅かれ早かれ人類が絶滅レベルの脅威に直面する」という予測を述べていた。そして脅威の一つとしてAIを挙げており、2014年の『BBC』のインタビューで、「完全なAIの開発は、人類の終焉を招く可能性がある」とコメントしていた。
当時、博士は原始的なAIが非常に有用であることを認めており、利用していた通信用の機器にはAIが組み込まれていたという。しかし、AIが人間と同等、あるいはそれ以上の高度な知能を発揮する可能性を懸念。未監視のAI開発に関する危険性を警告した国連への公開書簡に、署名した専門家の一人でもあった。
■異星文明の脅威
博士は、異星文明の脅威についても言及していたという。地球外知的生命体を研究する科学分野が存在するものの、「宇宙のどこかに存在する異星文明をむやみに歓迎することは危険だ」と警告していた。
2010年には『ディスカバリーチャンネル』に対し、「宇宙人という存在は、資源を求め地球を襲撃する」とコメント。クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見したあと、ネイティブアメリカンにとっては良くない結果になったことを例に挙げ、考察していたのだという。
ところが、「この懸念は悲観的であり、異星文明が資源を狙っているのなら、10億年以上も前に発掘しているはずだ」と反論する専門家もいる。
■地球温暖化への警告
また博士は、地球温暖化についても「人類にとって最大の脅威だ」と警告していた。人類が後戻りできない転換点を迎えることに恐怖を覚え、アメリカがパリ協定から離脱したことについても、心中穏やかではなかったと伝えられている。
博士は当時の心境を、「(ドナルド・)トランプ大統領は、地球を瀬戸際に押し上げ、気温が250℃にも上昇し、硫酸が降り注ぐ金星のような星になってしまうかもしれない」と『BBC』に語っていた。
これに関して国連の気候変動の政府機関は、地球温暖化の転換点に達する潜在的なリスクを強調しているものの、世間の知識とのギャップは大きいと指摘している。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)