「うるさい障害児は迷惑」と元隣人に賠償求められ… 精神的苦痛を受けた母親が反訴
障害を抱える息子の声が「うるさい」との理由で、隣人女性から訴えられた母親。それを「差別」として、反訴した。
元隣人女性から賠償を求める訴えを起こされた母親が、「精神的苦痛」を受けたとして反訴した。『NBC New York』『Law and Crime』などが報じた。
■障害ある息子に対し「うるさい」
2022年5月、アメリカ・カリフォルニア州サンノゼのアパートで暮らす母親が、息子(11)を連れて家を出たところ、隣の部屋に住む女性Aさんに呼び止められた。
Aさんは自己紹介をした後、「あなたの息子の声がうるさい」「アパートの裏庭で遊ばせるのも、外出させるのも止めてほしい」などと苦情を言ったという。
母親によると、息子は重い自閉症に加えADHD(注意欠如・多動症)があり、言葉を話すことができないそうだ。うめき声と叫び声が唯一のコミュニケーション手段のため、母親は息子の状態を丁寧に説明してAさんに理解を求めた。さらに自身の携帯電話の番号を渡して、「問題があれば連絡してください」と伝えたという。
■引っ越した母親と息子
しかし数日後、Aさんはアパートの大家に苦情の連絡を入れたという。報告書には「子供が裏庭で独りで遊んでいる。変な声を発し、極めて不快」などと綴られていたそうだ。苦情を受けたアパート側は、事情が事情なだけに、特に対応しなかったと伝えられている。
また別の時に母親がAさんと顔を合わせると、「息子さんの障害は治療できないのか」などと心無い言葉を投げかけられたことも。そうしたいやがらせが続いたため、母親は息子を連れてすぐにアパートから引っ越した。
なお母子は祖父母と同居しており、祖父母はアパートに残って暮らし続けたが、Aさんとの関係は険悪なままだったという。
■隣人が訴訟提起
2023年12月になってAさんは、母親、祖父母、およびアパートの大家に対し、賠償を求める訴訟を提起した。
訴状によると、母親らが息子の迷惑行為を容認して放置した結果、Aさんだけでなく他の住人らも平穏な生活が乱されたと主張。精神的苦痛を受けたとして、慰謝料などを含む損害賠償の支払いを求めている。
他にもAさんは、状況を改善しようとしなかった大家の過失も訴えている。Aさんによると、繰り返し改善要求の連絡を入れたが、「誇張しすぎ」「センシティブ過ぎる」などの返答で片付けられてしまったとしている。
■母親が反訴
訴訟を受けた母親側は、代理人弁護士に相談したうえで反訴請求することに。そして今年3月1日に「障害がある息子が差別され、精神的苦痛を受けたのは私たち」と逆に訴え、Aさんに賠償を求め反訴した。
母親は、「苦情を言ってきたのはAさんだけです」「言葉が話せないのは息子の責任ではありません」「『声』は、息子が喜び、痛み、悲しみを表現する唯一の意思疎通の手段なんです。それを迷惑と言われて、心が痛みます」と各社取材に語っている。
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(取材・文/Sirabee 編集部・宮 ちてら)