90代夫の死から2日後に妻も他界 70年寄り添った夫婦のため遺族が合同葬儀
愛する夫の死を知らされないまま、妻も数日後に死亡。長いあいだ愛し合い、支え合った夫婦のため、家族は合同葬儀で見送った。
老いてもなお互いを愛し続け、支え合ったおしどり夫婦。妻は夫の死から2日後に息を引き取った。ふたりの長い結婚生活と最期について、タイのメディア『Thaiger』などが伝えている。
■支え合い子供を育てた夫婦
タイ・トラン県で暮らしていた夫Aさん(92)と妻Bさん(88)は、70年にわたって互いを慈しみ支え合った。立派に育てあげた子供は、計10人。夫婦仲はすこぶる良く、どんな困難も一緒に乗り越えた。
体調を崩すこともあったが、それがどちらであれ、ふたりはいつも一緒。元気なほうが献身的に尽くし、懸命にサポートしていたようだ。老いてからも互いに対する気持ちは変わらず、ふたりで海などに出かけて穏やかな時間を楽しむこともあった。
■訪れた永遠の別れ
そんなある日のこと、Aさんは転倒して腰を骨折。そのせいで寝たきりになり、入院を余儀なくされた。その後の3月3日に息を引き取ったが、子供たちを含む遺族はBさんに事実を伝えることができなかった。
年の割に元気とはいえ、Bさんも80代後半。心配した家族は「せめてお別れが言える状態になるまで遺体を預かっておこう」と考え、様子を見守ることにしたのだ。
しかしAさんの死からわずか2日後、病院にいたBさんが突然死亡。Aさんの死については何も知らぬまま、帰らぬ人となった。
■合同葬儀で見送った遺族
Aさんに続いてBさんも亡くなったため、遺族は合同葬儀の開催を決定。美しく飾った棺を会場に並べて伝統的な布をかけ、ふたりの冥福を祈った。
孫のひとりは善良で愛情深かったAさんとBさんの生前を偲び、「勤勉さ、忍耐、そして永遠の愛がいかに大事かを教わりました」と話す。明るく優しくもあったふたりの旅立ちを、多くの家族と友人らが見送った。
■夫婦が同時期に死亡するケース
長いあいだ寄り添い合った夫婦が、同じ時期に亡くなることも珍しくはないようだ。2016年には、アメリカ・サウスダコタ州の老人ホームで暮らしていた80代のアルツハイマー病患者が死亡。その約20分後に、がんを患い同じホームで暮らしていた夫が後を追うように息を引き取った。
ふたりが結婚していた期間は、63年。夫は妻を見つめながら死亡したとも伝えられている。
・合わせて読みたい→家族の死を受け入れず「昏睡」と主張した妻 18ヶ月にわたり遺体を自宅で保存
(文/Sirabee 編集部・マローン 小原)