トランスジェンダー女性客に「男性用トイレ」促した店員が有罪 ヘイトクライムと認定
トランスジェンダーの女性客に「男性用のトイレを使うべき」と告げたバーテンダーの女。口論になったうえ、ジェンダーハラスメントで起訴された。
トランスジェンダーの女性に対しジェンダーハラスメントをしたとして、起訴されていた女の裁判が開かれ、有罪判決が下された。『Fox News』『Post Millennial』などが伝えている。
■女性用トイレの利用を咎められ…
2022年12月27日、アメリカ・オレゴン州ポートランド在住のトランスジェンダーの女性Aさん(35)が、あるバーを訪れた。
しばらくしてAさんは女性用トイレへ。用を足して個室から出たところ、同店で働くバーテンダーの女B(40)に呼び止められて、「あなたは男性なんだから、別のトイレを使うべきです」などと言われたという。
これに対し、Aさんが自身のジェンダーについて説明しようとするも、Bは聞く耳を持たなかった。Aさんを罵ったうえに突き飛ばし、「出ていけ」と言い放ったそうだ。
Aさんはケガすることはなかったが、バーを出て警察に通報した。なお、Aさんの生物学上の性別は「男性」だが、ID上は「女性」と伝えられている。
■食い違う主張
すぐに警察官らが駆け付け、AさんとBに話を聞くと、両者の主張は食い違っていた。
Bの話では、勤務を終えてバーで一息ついていたところ、馴染み客から「トイレの順番待ちをしていたら割り込まれた。割り込み犯は周囲の人たちを突き飛ばした」などと苦情を受けた。そこで女性用トイレに向かい、個室から出てきたAさんに声をかけたところ口論に発展したというのだ。
またBは「私たちはミルクをこぼしたことで口論していたんです」と捜査員に説明して、ジェンダー差別をしたことを否定した。
ただしAさんを押したことは認めており、「スペースを確保するために(Aさんを)押しただけです」とも話したという。
■目撃者が証言
Bが逮捕されたかは不明だが、警察は後日、ジェンダーハラスメントとミスジェンダリング(本人が自認する性別と異なる扱いをすること)容疑で、Bを起訴した。
こうしてBの裁判が開かれ、Aさんとの主張が食い違う中、バーの防犯カメラの映像が公開された。映像に音声はないが、Aさんの胸ぐらを掴んで押すBの姿が映っていた。
他にも、事件を目撃したバーの客が出廷し、「BがAさんに対し、『彼』など男性を指す代名詞を使って、女性用トイレの使用は許されないと発言していた」などと証言した。
■ヘイトクライム認定
複数回の審理を重ね、6日に開かれた裁判では、ジェンダーハラスメントとミスジェンダリングで有罪となり、執行猶予付きの禁固刑2年に加え、50時間の社会奉仕活動がBに言い渡された。Aさんの主張が認められ、ヘイトクライムが認定された形だ。
裁判所で判決を聞いたBは、Aさんに謝罪し、今後はバーに行くのを控えると話した。また「LGBTQ関連の団体で社会奉仕活動をしたい」と申し出ているという。
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(取材・文/Sirabee 編集部・宮 ちてら)