産気づいた搭乗客のお産を機長が介助 副操縦士に操縦任せ臨時「助産師」に
「陣痛が始まり、苦しんでいる妊婦さんがいる」と聞いた機長が、コックピットを離れて乗客のもとへ…。そのままお産を介助し、元気な赤ちゃんを取り上げた。
苦しい陣痛に必死に耐えている妊婦を支え、助けてあげたい。そう考えた機長の勇気ある行動について、『Thaiger』など海外メディアが伝えている。
■産気づいた乗客
2月23日、台湾・台北からタイ・バンコクに向かう飛行機内で、女性搭乗客がいきなり苦しみ始めた。女性は妊娠中で、搭乗後に陣痛が始まり、分娩が急速に進んだため差し迫った状態に陥ったのだ。
乗務員から状況を伝えられ、「自分が介助するしかない」と覚悟を決めた機長のジャカリンさんは、副操縦士に操縦を任せてコックピットを後に。すぐに女性のもとに行くと、赤ちゃんの誕生は待ったなしの段階だった。
■介助に初挑戦
パイロットになって18年。初めて搭乗客のお産に立ち会うことになったジャカリンさんは、慌てずに介助を行った。幸いにも女性の分娩は順調に進み、ほどなくして元気な男の赤ちゃんが産声をあげた。
着陸直後、空港で待機していた救急隊が女性と赤ちゃんの状態を確認したが、母子ともに元気で健康上の問題はなかった。
■「誇りに思う」とコメント
ジャカリンさんはメディアの取材に応じ、上空でのお産介助を回顧。「あの赤ちゃんは、『僕は上空で生まれたんだ』と一生自慢できることでしょう」「本当に誇りに思います。赤ちゃんの誕生に際し、力添えできたのですから」と語った。
ジャカリンさんによると、当日に機内で働いていた乗務員らも誕生を喜び、生まれた赤ちゃんのことを「スカイ」と呼んでいるのだという。なおジャカリンさんは、医療関係の資格の有無などについては明らかにしていない。
■機内で出産するケース
飛行機の利用客が上空で産気づくケースは、稀にある。2021年12月には、カタールからウガンダに向かう飛行機内で女性客が産気づいたため、たまたま同じ機内にいた女性医師らが介助にあたり、赤ちゃんを取り上げた。
無事の誕生を喜んだ医師は、産後の女性に自分の名が彫られているネックレスをプレゼント。女性は医師に感謝し、赤ちゃんに医師と同じ名前をつけたと公表している。
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(文/Sirabee 編集部・マローン 小原)