航空会社がデータ収集のため搭乗客に体重測定要請 「プライバシー侵害」と物議醸す
航空会社が、データ収集のためとして搭乗客の体重測定を実施。現在は任意だが、「将来的に規制の基準になる」と不穏な空気が広がっている。
フィンランドの航空会社フィンエアーが、データ収集のため搭乗客の体重測定を実施すると発表した。将来的に規制につながる可能性があるとして、物議を醸している。『indy100』がレポートした。
■機体バランス最適化のため
5日、フィンエアーが搭乗客に任意で体重測定を実施すると発表した。フィンランドのヘルシンキ空港にて2、4、5月に実施を予定し、収集されるデータはフィンエアーの機体バランスの計算を最適化するためのみ、使用されるということだ。
なお、搭乗客への「体重測定は任意となっており、匿名で実施されるため個人が特定される心配はない」としている。航空当局が5年ごとに測定値を更新しており、2025年以降に示されるバランス計算の正確性を保つため、このデータ収集が必要になったそうだ。
フィンエアーは現在、2018年に測定された基準を満たす平均重量になっている。今回の要請は、「安全に離陸するため、重量オーバーにならないよう事前の調査が必要になったからだ」とも説明した。
■過去にも体重測定実施
航空会社が体重測定を実施したのは、フィンエアーが初めてではない。昨年6月、ニュージーランド航空が1万人の搭乗客を対象に、1ヶ月にわたる調査を実施している。同社の声明によると、貨物や機内食など飛行機に積まれるあらゆるものの計測が行われたという。
現在、航空当局が指定している13歳以上の体重は、機内持ち込み手荷物を含めて86キログラムに設定されている。搭乗客の平均体重を変更したのは2004年が最後で、当時は77キログラムだった。
しかしニュージーランド人の体重は近年増加傾向にあると健康統計が示しており、最新の調査で成人肥満率が34%となり、前年よりも3%増加しているという。
■「プライバシーの侵害」と物議
フィンエアーはあくまでも任意と強調しているものの、「プライバシーの侵害」として批判するメディアも少なくない。
イギリスのテレビ番組『Good Morning Britain』に出演したモデルのヘイリー・ハッセルホフさんは、「現在は任意だが、将来的には義務化されるのではないか」と懸念を示した。
またヘイリーさんは「特に摂食障害のある人や、摂食障害から回復中の人にとって、空港での体重測定が“引き金”になる可能性がある」とも指摘している。
一方でニュースキャスターのニーヴ・スペンサーさんは、「業務効率の問題だと思う。体重が少なかろうが多かろうが、量るのは良いことだ」と話したという。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)