吉高由里子が大河ドラマの可能性を拡げるか 脚本家・大石静氏とのタッグの歴史から紐解く
今年の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合)で主演を務める吉高由里子の魅力を、脚本家・大石静氏とのタッグの歴史とともに考察する。
■恋愛・社会派・キャラクター
また同作品では、WEST.の重岡大毅も印象的な役を演じることで、俳優としてブレイク。重岡は回を追うごとにクズさも人間らしさも増していく役。その後、重岡は『 #家族募集します』(TBS系)などいくつかのドラマの主演をするようになる。
大石氏は『星降る夜に』でも、主人公である吉高に対し、恨みを募らせる、闇深くも人間味も、じつはある重要な役柄を、当時としては珍しくもムロツヨシにさせていた。
吉高と大石氏のタッグは、恋愛性・「社会派」性・キャラクター性をうまくミックスした濃厚な物語を実現させるのだ。
■吉高由里子の重厚なイメージの確立
吉高自身も同じ頃に、大島優子らとの恋愛ドラマのイメージから、『危険なビーナス』(TBS系)、『最愛』(TBS系)と、ミステリアスな女性を集中して演じるようになっていく。
『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)も、いかにも「働き方改革」 を背景にした「社会派」性のあるドラマだったが、『知らなくていいコト』は吉高・大石氏・柄本・重岡のいずれにとっても、1つのターニングポイントとなるような重要な作品となっただろう。
■平安時代を描く大河ドラマ
昨今の大河ドラマは、戦国時代や明治維新でない場合はかなりハードルが高い。第2次世界大戦前後の時代を描いた宮藤官九郎氏の『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(NHK総合)は低視聴率となった。
しかし、『いだてん』は評価する声も多い。同作品の評価としては、時代を行き来する点が大河視聴者のハードルを上げたが、『光る君へ』への評価は今のところ上々だろう。
■吉高・大石氏タッグの挑戦
同作品は雅な宮廷闘争と恋愛劇という大石氏らしい、大河らしくはない捻りのある内容。だが、吉高の存在感と大石氏が描く濃厚なキャラクター描写による、映像も美しい新たな時代の大河を、積極的な大河ファンは楽しんで受け止めている。
吉高・大石氏タッグが、また新たに現代大河の可能性を拡げることを期待したい。
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(文/メディア評論家・宮室 信洋)