チョコや餅が普段より2割も安い不思議… 季節商品にまつわる「価格マジック」の話

【鈴木貴博『得する経済学』】バレンタインデーも無事終了。実はチョコ買いだめにはこの時期がお得だったりします。そういう季節商品の“特売”について分析します。

2024/02/18 06:00

揚げだし餅のおろしあんかけ

「ああ、やっぱりあの時1パック多めに買っておいて正解だったね」と、ドヤ顔で家内に目配せをしているのがこの日の私です。

スーパーで買い物をしている途中で見つけたのが「サトウの切り餅」1kg入りのパッケージ。これが特売コーナーで798円で売っていました。ちなみに“あの時”というのは今年のお正月です。新年用にお餅のパックを買う際に、2袋買うか3袋買うか迷ったのですが、結局、3袋買うことにしたのです。

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■実はお餅が劇的に安くなるのは「正月」だけ

お正月はそれなりに来客も多いので1kgのお餅のパッケージも松の内にすでに2袋目を開封して、現在に至ります。この調子だと2月か3月頃には追加で買った3つ目のパッケージを開封することになりそうです。

そしてここが重要なのですが、サトウの切り餅1袋の価格は、お正月の特売で598円だったのです。

お餅の価格は季節商品としてお正月前後だけ激安になります。そもそも1kgのパッケージが多く売れるのはこのシーズンだけで、その後は400gの小さめなパッケージが398円で売られるのが一年を通じた通常の価格です。1kg 598円はお正月だけの特別な特売価格。計算をしてみるとわかるのですが、目の前の特売価格798円と比較したら同じ特売でも25%も安いですよね。

そういった経済現象を知識として知っている私なので、お正月に1袋余計にお餅を買っておくことができて、それであとあと得した気分にひたることができたという「ドヤ顔」なのです。

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■そしてチョコは2月が一年で一番安くなる

さて、このように一年の間である季節だけ激安になる商品は他にもありますよね。そうなんです。2月は同じ理屈でチョコレートが激安になっています。

私はチョコレートが大好物で、この季節は「チョコ欲しいなぁ」と周囲におねだりもしたりするのですが、それ以上に大切なのはバレンタインデーのタイミングで6月ぐらいまでの消費分を買いだめすることです。

たとえば明治のミルクチョコレートの食べやすい「ひとくちサイズ」のパッケージは120g入りで通年の特売だとだいたい288円ぐらいですが、今はバレンタインシーズン価格としていろいろな場所で228円で売られています。そしてアフターバレンタインの2月下旬くらいまではこのお得な価格が続くでしょう。

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■通常特売より「さらに2割もお得!」の謎

面白いことにこのバレンタインのチョコの価格もお餅と似ていて、通常特売価格よりも2割安いですよね。特売の特売現象が違う商品で起きる。それは偶然ではないかもしれません。

なぜなら、「一年で一番売れるシーズンだから、このときは思い切って普段の特売から2割引にしよう!」と、チョコレートの会社の販売部長さんも、切り餅の会社の営業部長さんも考えるのであれば、同じような現象が起きますよね。

そんなことを考えながら売り場を眺めてみると、ライバルのロッテのガーナチョコも日ごろは110円で売っているのに、目の前の特売価格は89円です。計算してみるとやっぱり2割引。

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■どうやら世界はマジックナンバーに支配されている?

経済の裏側でよく話をするのですが、世の中にはマジックナンバーというものがあります。業界の人が経験値として頭に浮かべる数字のことです。こうして同じ現象がいろいろなところで起きているのを見ると「季節商品の特売はさらに2割引」というのは偶然ではなく、行動経済学的に裏付けのある現象なのかもしれませんね。

とはいえ、2月に買ったチョコは夏頃になると風味が落ちますよ。お得だからといって買いだめのし過ぎにはくれぐれもご注意を。

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■著者プロフィール

鈴木貴博

Sirabeeでは、戦略コンサルタントの鈴木貴博(すずきたかひろ)さんの連載コラム【得する経済学】を公開しています。街角で見かけるお得な商品が「なぜお得なのか?」を毎回経済理論で解説する連載です。

今週は「季節商品の特売」をテーマにお届けしました。

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(文/鈴木貴博

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