『Momodora:月影のエンドロール』プレイレビュー 見た目はキュートでも物語はシリアスな傑作メトロイドヴァニア
美麗なドット絵のマップを心ゆくまで探索。名作シリーズの最新作『Momodora:月影のエンドロール』で遊んでみました。
Sirabee読者の皆さんこんにちは、倒すと低確率でメガネかジャージをドロップする系VTuberの幽霊坂ゆらぎです。
今回は皆さんに「メトロイドヴァニア」というジャンルを紹介しつつ、同ジャンルのゲーム『Momodora:月影のエンドロール』のレビューをしていきたいと思います。
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■美麗ドット絵で送る探索型アクション
本作はBombserviceが手掛ける『Momodora』シリーズの最新作で、いわゆる「メトロイドヴァニア」と呼ばれる探索型のアクションゲームです。
ドット絵を基調とした美麗なアートスタイルが特徴で、主人公であるモモを始め、敵キャラクターのアニメーションやマップの小道具一つとっても丁寧に描き込まれています。
また、同ジャンルの多くの作品の中でも特にアクション部分に重点を置いており、ダッシュやジャンプ、コンボ攻撃など、しっかりと思い通りに動く楽しさがあります。
同シリーズは2010年から継続的に発表されており、本作は「Momodora3から5年後の話」とありますが、ストーリーは本作独自のものなので、シリーズを知らなくて十分楽しむことができます。
私は今回本作をクリアまで遊びましたが、メトロイドヴァニア初心者にもオススメしやすい内容でありながら、やりこみ要素などを含めると歯ごたえを求めている人にもオススメできる作品だと思いました。
■人気ジャンルの一つ
ところで今更ですが、皆さんは「メトロイドヴァニア」という言葉をご存知でしょうか?
今ではすっかりゲームジャンルの一つとして定着していますが、これは『メトロイド』と、海外での悪魔城ドラキュラの呼び名を指す『キャッスルヴァニア』を掛け合わせた造語で、マップ探索型アクションなどとも言われています。
このジャンルは『スーパーメトロイド』や『悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲』で核となるシステムの多くが完成しており、今なおフォロワーが耐えない人気ジャンルの一つなんです。
かくいう私も同ジャンルは大好物。特に悪魔城ドラキュラシリーズの楽曲が好きで、過去には悪魔城風の8bitアレンジ楽曲を作ったりもしています。
そんなわけで、割と歴史は古いんですが、今なお多くの人に愛され、新作も出ている人気ジャンルの一つなんですよね。
■随所で光るバランス調整
さて、話をゲームに戻しますと、本作は「マップを探索し、各地でボスと戦い、新たな能力を得てさらに探索を進める」という、メトロイドヴァニアとしては非常にオーソドックスな流れの作品です。
その上で攻撃はワンボタンで簡単にコンボ攻撃が出せますし、遠距離攻撃である矢は弾数無限で放てるなど、プレイヤーのストレスを極力廃した作りになっていて、いわゆる「詰み」のような状況は起きにくくなっています。
また、今いるエリアに隠されたアイテムがある場合はマップに「?」マークが表示されるなど、メトロイドヴァニアの醍醐味であるアイテム探索もストレスフリーで行えますし、遊びやすさを重視しているのがわかります。
だからといって簡単ということはなく、うっかり先のほうのエリアに迷い込むと、そのエリアをある程度踏破するまで出られないという骨太仕様だったり、唐突にボスと遭遇して気づいたらやられているという事も。
ただ、これも前述したように詰み防止のための救済措置がしっかりと用意されており、やられた時の状態のままセーブポイントからリスタートできるので、うっかり手に入れたアイテムを全ロストなんてことがないのは本当に助かりました。
初見では苦戦するボス戦も、かならず攻撃の予備動作があるので、動きを見てからしっかりと回避することで攻撃のチャンスが生まれ、上達を実感しやすいところもいいですね。
私のようにアクションが苦手な人間でも、マップを隅々まで埋めて強化アイテムを拾っていけば、最初は苦戦したボスもなんとか倒せるようになります。
もちろん、腕に自信があれば、初期ステータスであってもボスの攻撃を全て避けきって勝つこともできるのでは、絶妙なバランス調整だと思いました。
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■見た目とは裏腹に重厚なストーリー
本作は完成度の高いシステムだけでなく、ストーリーもしっかりと作られていて、私は終盤までハラハラしっぱなしでした。
というのも、作中に登場するキャラはみんなかわいらしい外見をしている反面、ストーリー展開は終始シリアスで、プレイヤーであるモモは村の危機への対応に追われて気が休まる暇もありません。
敵として登場する「悪魔」たちもコミカルな見た目をしていますが、モモには一切の容赦がありませんし、細かくマップを観察していると、平気で死体が転がっている描写もあるんですよね…。
それに、後半は没入感あふれる素晴らしい音楽のせいもあって薄暗いマップがかなり怖い…。見た目のかわいさで大分助かっていますが、リアル系だったら厳しかったかもしれません。
そんな中で、本作におけるモモの相棒とも言えるセレザとの会話シーンは数少ない癒やし要素であり、モモが年相応の女の子らしい反応をする貴重なシーンなんですよね。
あとはやはり、最近のMomodoraシリーズの定番とも言えますが、開発のBombserviceによる「巨女」への愛は今作も健在のようです。敵も味方も色々でっかいですね…。
そんなわけで、本作は良質なメトロイドヴァニアを求めているゲーマーの方にも、この記事でメトロイドヴァニアに興味をもってくれた方にもオススメです。
良かったら、皆さんのオススメのメトロイドヴァニアも教えてくださいね。
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(文/Sirabee 編集部・幽霊坂ゆらぎ)