イタリアで飼い犬のDNA登録を義務化 フンを追跡し飼い主に罰金17万円も
犬のフンの投棄に頭を悩ませていた自治体が、犬のDNA提出を義務化。遺伝子検査で飼い主に罰金を科す。
イタリアの北部の州で、飼い主が愛犬のDNAサンプルの提出を迫られている。街に不法投棄される深刻なフン被害の解決のためで、遺伝子検査により飼い主をつきとめ罰金が科されるそうだ。『Sky News』や『The Guardian』が伝えている。
■犬のDNA提出を義務化
風光明媚な都市として知られるイタリア・ドロミテ地方のボルツァーノ市とその周辺の町の州政府は、このたび同地域にいる約4万匹の犬のデータベースを立ち上げ、飼い主にDNAサンプルの提出を求めている。
州政府のパオロ・ザンボット獣医局長は 「ボルツァーノには、公有地の不適切な管理について、市民から年間数百件の苦情が寄せらています。その半数以上が犬のフンに関するものです」と明かす。
この街では長年にわたって飼い犬のフンの投棄被害を抱えており、法執行機関が現地に行って長時間張り込みを行い、わずか3〜4匹の犬の飼い主を捕まえるという極めて不効率な対応に追われていた。
■遺伝子検査で犬を特定
飼い犬のDNA登録は3月下旬ごろから義務化されるが、現在までに全体の約4分の1にあたる約1万匹分のサンプルが登録されている。
この計画が本格的に稼動すれば、捨てられたフンの遺伝子検査により犬を突き止め、飼い主に50~500ユーロ(約8,000~8万円)の罰金が科せられることになる。
また罰金に従わない飼い主には、292ユーロ~1,048ユーロ(約4万7,000~17万円)の追加の罰金が科せられる可能性がある。
飼い主は自治体のドッグシェルターや動物病院で、65ユーロ~100ユーロ(1万~1万6,000円)の費用をかけて、犬の血液検査を受けDNAサンプルを提出するが、検査の実施費用は罰金による収入から捻出されるという。
■多額のコストに批判も
義務化措置については犬の飼い主のみならず、犬を飼っていない市民の間でも賛否両論だ。
「この複雑な取り組みがどのように管理されるのか」「フンの犯人が野良犬であったり、観光客に飼われていたりした場合に、どのように管理されるのか」などの運用面を疑問視する声があがっている。
地元のマドレーヌ・ローラー議員は「自治体や警察にとって、余計な出費にしかならない」と批判。一方でアーノルド・シューラー州議員は「データベースは交通事故で死亡した犬や、他の動物や人を襲った犬の識別にも使われる」と述べ、飼い主や市民にとって有用なシステムであることを強調した。
イタリアの動物団体は、昨年12月31日の期限までにこの法律を廃止するよう求める嘆願書を提出し、これには犬を飼っていない多くの人々が署名した。理由は、データベースにかかる莫大な管理コストにあるという。
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(文/Sirabee 編集部・ジェス タッド)