『セクシー田中さん』原作者・芦原妃名子さん逝去が波紋 「漫画原作ドラマ」には6割がノー
原作者自らがドラマ『セクシー田中さん』9話・10話の脚本を執筆したことについて、ブログで説明していた芦原妃名子さん。痛ましい悲劇に波紋が拡がっている。
■脚本家は「苦い経験」と投稿
『セクシー田中さん』は、小学館『姉系プチコミック』に連載中の作品。コミックスは7巻まで刊行されているが、まだ完結していない状態でのドラマ化だった。
この作品については、脚本を担当した相沢友子氏が昨年12月28日、自身の公式インスタグラムにおいて、「最終的に9話・10話を書いたのは原作者です」と告白。
「脚本家の存在意義について深く考えさせられる」「苦い経験」「どうか、同じことが二度と繰り返されませんように」などと思いを述べていた。なお現在、同アカウントは非公開となっている。
■原作者もブログで経緯説明
一方、原作者の芦原氏は、自身のブログで「なぜ原作者自らが脚本を執筆せざるを得なくなったか」の経緯を説明。
これが大きな注目を集めた後にブログを削除し、公式Xアカウントにおいて、1月28日、「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」と投稿していた。結果的には、これが最後の投稿に。
本来は放送局や出版社がうまくまとめる話のはずだが、クリエイター同士がSNS投稿によって波紋を拡げ、取り返しがつかない結果を迎えてしまった。
■「原作レイプ」という言葉も
漫画を実写化したドラマや映画は、「原作レイプ」「原作クラッシャー」などと呼ばれるケースが少なくない。配役や脚本、設定などが大きく改変されてしまい、これは漫画のファンからすると許せないような仕上がりになる状態を指す言葉だ。
『セクシー田中さん』のドラマについても、放送中からこうした意見がしばしば見られた。
また、相沢氏は『鹿男あをによし』『ミステリと言う勿れ』(ともにフジテレビ系)など小説・漫画を原作としたドラマも多く手掛けるベテラン脚本家だが、SNSが炎上している今、過去作品についても批判の声が目立っている。
■6割が漫画原作ドラマに否定的
昨今、増えているように感じられる漫画原作ドラマだが、そもそも視聴者はどのように受け止めているのだろうか。
Sirabee編集部が、2023年11月8〜11日にかけて、全国10〜60代男女1,000名を対象に「漫画原作ドラマ」について調査したところ、「漫画でストーリーを知っているので安心」と答えた人は11.9%。
「ドラマを見て漫画を読みたくなる」という人が9.5%で、肯定的な意見の人はおよそ2割だった。最も多かった答えは、「漫画のほうが好きなので裏切られることが多い」の34.8%。
また、「漫画だとよいが実写になると非現実的に感じる」という人も23.0%存在する。6割弱の視聴者は、漫画原作ドラマに良い印象をもっていないことがわかる。
■若い世代はとくに「漫画支持」
今回の調査では世代による意識差も大きく見られた。テレビ局が視聴者として最も求める若年層は、漫画原作ドラマにきわめて否定的のようだ。
10〜20代ではじつに41.2%が「漫画の方好きなので裏切られることが多い」と、ドラマによる陳腐化を批判。この割合は、年代が上がるほど下がり、60代では24.3%にとどまっている。
今回のトラブルが、今度のテレビドラマ制作にどのような影響を与えるのか。痛ましい悲劇が繰り返されないことを祈るばかりだ。
■主な相談窓口
・いのちの電話
ナビダイヤル=0570-783-556(10時~22時)
フリーダイヤル=0120-783-556(16時~21時。毎月10日は8時~11日8時)
・日本いのちの電話連盟(https://www.inochinodenwa.org)
■執筆者プロフィール
タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター
1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。
著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社)
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)