家庭内暴力被害者にイギリス政府が支援金で援助 自立のために最大46万円を支給
家庭内暴力に苦しむ人への支援金の発給が、イギリスで開始されるという。生活苦で回避できない人は、政府の援助が受けられるという試みだ。
イギリスで、家庭内暴力に苦しむ人の自立を支援する試みがスタートする。暴力から逃避したくても、物価高騰により生活費を確保できない被害者に対し、政府が支援金を支給するという。『The Independent』が伝えた。
■最大46万円の支援金
イギリス政府は、家庭内暴力の被害者に現状から逃れるための支援金を支給すると発表した。
被害者は、食料や子供のおむつ代など必需品の購入費用として、最大500ポンド(9万2,000円)の支払いを請求できる他、住居代として最大2,500ポンド(約46万円)が受けられる。
内務省の資金援助により発足したこの支援金計画は、2023年に実施された女性援助の計画の一端で、すでに600人以上の女性がなんらかの援助を受けているという。同支援の本格的な施行は、1月31日からスタートする予定だ。
■家庭内暴力は繰り返す
被害者・保護担当大臣を務めるローラ・ファリアス氏は、「女性は人生のどん底の時期に、虐待から逃れるため生活苦を強いられることがあります」「自信や経済力の欠如、復習への恐怖などの理由で、困難な状況に長期間閉じ込められてしまうのです」と話す。
『The Independent』の調べによると、家庭内暴力に苦しむ被害者のうち4分の3の人が、生活費の高騰によりパートナーから逃げられないのだという。
また家庭内暴力の支援活動を行う慈善団体『Women’s Aid(ウィメンズ・エイド)』は、多くの被害者が一人の収入で生活苦や借金に陥ることの恐怖も抱えていると、報告している。
イングランドとウェールズでは、平均で毎週2~3人の女性がパートナーや元パートナーによって殺害事件に巻き込まれているのだという。これは女性の4人に1人が、生涯どこかの時点で家庭内暴力を受けることを裏付けている。
そして家庭内暴力は、他のどの犯罪よりも繰り返し被害を受ける確率が高いのだという。
■無一文で逃避する被害者も
昨年、政府が同支援の制定のために試験運用を実施したところ、家庭内暴力の被害者の4分の3が、無一文で逃避していたことがわかった。
Women’s Aidの最高責任者ファラー・ナジール氏は、「より多くの被害者が虐待から逃げられることにより、家庭内暴力がもはや容認されない社会の構築に向けて進んでいます」と述べている。
この支援は2025年3月まで継続される予定で、イギリス・イングランドとウェールズのネットワーク網を通じて実施されることが決まっている。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)