6割以上の人が毎年正月に食べると回答 餅の形や具材には地域による違いも
平らにのして切る角餅は、「敵を制圧して切る」として武士の間で縁起モノとされていた。
■毎年お正月には雑煮を食べる
Sirabee編集部が全国の10代〜60代の男女1,000名を対象に実施した調査では、全体で66.2%の人が「毎年お正月には雑煮を食べる」と回答した。
なお男女別に見ると、男性は62.1%、女性は70.2%という結果になっている。
■年によって具や出汁を変えて
編集部が話しを聞いた40代の男性は、「物心ついた頃から正月三が日の朝にはお節とともに雑煮が出されていたので、いまでも雑煮だけは欠かさず食べています」と述べた。結婚後は、夫婦それぞれが食べて育った雑煮の違いを楽しみながら、年によって具や出汁を変えているという。
子供がお節を食べないので正月は雑煮がメインになるという40代の女性は、「子供たちも、お正月は餅を食べると思っていて、とくに雑煮は出汁に浸かった餅がとろとろで美味しいと好評です」と、子供にも食べさせやすく、出汁を準備していれば忙しい正月の朝にもさっと出せてありがたい一品だという。
■庶民に広まったのは江戸時代
古くは室町時代から、公家や武家で、おもてなし料理、慶事料理として正月以外にも食べられていたという雑煮。農業を営む庶民に、新年の豊作や家内安全を祈るおめでたい食べ物として広まったのは江戸時代頃だと言われている。
雑煮に関する定番のイメージはあるが、地域によって出汁の種類や調理法、具材、餅の形までもが違うのは、江戸時代の各地の食生活や流通によるものだと考えられている。
西日本は丸餅が、東日本には角餅が多いようだが、角餅は「のして切る」ことから「敵を制圧して切る」として武士の間で縁起モノとされたという説もあるようだ。
■具材や出汁、餅にも地域による違いが
餅の調理法にも地域による違いがあるようだ。丸餅の多い西日本は煮ることが多く、各持ちの多い東日本は焼くことが多いそう。さらに、「白=城」を焼くというイメージを嫌って角餅でも煮る地域があったり、あんこ餅にする地域やクルミだれにつけて食べる地域があったりと、餅ひとつとっても違いがあるのは面白い。
具材や出汁も、それぞれの地域でこの季節に手に入りやすい食材が使われているが、山間部にある地域でも、正月のためのごちそうとして塩漬けのブリを取り寄せるなど、縁起ものとして根付いた食材もあるようだ。
人々の暮らしとともに新しい年への願いが込められた雑煮。そんな背景に思いを馳せながら食べると、また違った趣が感じられるのではないだろうか。
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(取材・文/Sirabee 編集部・蒼羽 結)
対象:全国10代~60代男女1,000名 (有効回答数)