繁殖力の高い野生豚がアメリカに侵入 「作物を荒らし生態系を壊滅」と専門家が警鐘
カナダで野生化した外来豚「スーパー・ピッグ」の被害が拡大。アメリカで侵入阻止の施策が行われている。
アメリカ北部の州が、カナダで野生化した「スーパー・ピッグ」と呼ばれる外来豚の脅威にされている。農作物を荒らし生態系を破壊するこの豚について、『Sky News』やカナダ『CBC』が伝えている。
■野生と家畜の交配種
ユーラシアイノシシの生存能力と、カナダ産家畜豚の繁殖力を組み合わせた交配種「スーパー・ピッグ」は、知能が高く大型の豚で、カナダ国内では野生化により深刻な問題を引き起こしている。
カナダの専門家であるライアン・ブルック教授は、「スーパー・ピッグは地球上で最も侵略的な動物で、病気を蔓延させ、農作物や野生動物に壊滅的な打撃を与える可能性がある」と語り、警鐘を鳴らした。
■作物や生態系への影響
スーパー・ピッグは毛皮に覆われているため、カナダの寒い冬を生き延びることが実証されている。
畜産業の専門家たちは、根絶が困難なスーパー・ピッグの数が増加しアメリカ北部の州への侵入を恐れているが、徐々に野生化した群れが近づいているという。
ブルック教授は「アメリカの国境を越えてきても、誰も驚かないでしょう」と語る。ミネソタ州、ノースダコタ州、モンタナ州のなどアメリカ北部の州は侵入を食い止めるための措置を講じているが、コントロールするのは容易ではないようだ。
■増化の阻止は困難
スーパー・ピッグは、繁殖が非常に早い点でも脅威となっている。母豚1頭が1年間に6頭の子豚を産み、2頭の子豚を育てることができる。これは、仮に毎年個体数の65%を駆除できたとしても、増え続けることを意味する。
ブルック教授によれば、「賢いスーパー・ピッグを狩ることができる成功率はわずか2~3%であり、このことが問題をさらに悪化させる可能性がある」という。
スーパー・ピッグは警戒心が強く、夜行性で追跡は難しい。いくつかの州では安全のためにハンターに夜間の狩猟を禁止しており、地上トラップやヘリコプターから発射するネットガンなど、別の駆除方法を検討している。
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(文/Sirabee 編集部・ジェス タッド)