日本一矛盾した信号機、どう運転すれば良いのか… 県警の明かす「誕生秘話」に思わず納得
「青信号と同じ」状態にも関わらず、周りくどい表示をしている信号機。所轄の警察署に、ことの経緯を尋ねてみると…。
■県警は「交差点に理由がある」
逆に何したらダメなの pic.twitter.com/rQ6yjTpqwb
— でんか (@K_theHermit) October 21, 2023
写真に写った道路は、三重県松阪市と伊勢市を結ぶ「南勢バイパス」(国道23号)と判明。
でんかさんは発見時の様子について「『これ、何をしたらダメなのか分からないよね』『青信号でも良くない?』と車内で話題になったので、撮影して投稿しました」と振り返りつつ、「絶対同じことを思ってる人が日本中にたくさんいると思いまして、予想通りでした」とのコメントを寄せてくれたのだった。
続いては、三重県警の交通規制課に、詳細を尋ねてみる。まずは基本のチェックから…ということで念のため確認したところ、やはりこちらの信号は「矢印の方向全てに進行可能」という認識で正しいとのこと。
ではなぜ、わざわざ信号の表示を「赤信号」としているのか。こちらの理由について触れる前に、どうやら件の交差点について理解する必要がありそうだ。
■当初は「全く違う表示」だった
三重県警の担当者は、「こちらは松阪市にある新屋庄町(にわのしょうちょう)交差点といい、2007年に同じ国道23号の中勢バイパスの拡張を受けて誕生しました」「当初は、赤信号が表示された状態でまず『左折・直進可能』の矢印が表示され、その後は『右折可能』に切り替わる、最もオーソドックスな形式を採用していました」と、その成り立ちを説明する。
…と、ここで気をつけたいのが、対向車側も「全く同じ信号表示がされている」という点。
担当者は、こちらの前提を踏まえた上で「『左折・直進』が表示されている際に誤って右折してしまう…という交通事故が発生するようになりました」「そこで2015年より、現在の表示内容に変更となりました。信号の青矢印が3つ点灯している際、対向車側の信号では赤信号のみ表示されています」と、説明してくれたのだ。
つまり一風変わった信号の表示内容は「事故防止」を目的としたもので、表示形式を変更して以降、前出のような事故は起こっていないという。
しかし「それならばやはり、矢印表示をやめて青信号だけ表示すれば良いのでは…?」という疑問が拭えないのも事実。こちらの疑問に対し、担当者は「既存の状態や交通環境に合わせての変更となり、もしこちらで事故が防げなかった場合は、また別の対策を施す予定でした」と解説している。
…ということは変更後も事故が発生していた場合、矢印部分が撤去されて今回のようなシチュエーションでは「青信号」が灯火されるようになった…というケースも、十分考えられたということだろう。
矢印式の信号を見かけた際は、対向車との事故にくれぐれも気をつけてほしい。
■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力・機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ)