カルト教団の教祖を複数容疑で逮捕 信者を危険な「万能霊液」で弱らせ祈祷
何も知らず水銀入りの「霊薬」を飲み、体調を崩す信者たち。しかしその後は「教祖の祈祷で回復した」と信じていた。
このほどスペインで、奇跡の祈祷なるものを売りに、大勢の信者を集めていたカルト教団のトップが逮捕された。とんだ錬金術師であったことを、アメリカの『NEW YORK POST』や『US TIME TODAY』などが伝えている。
■「奇跡が起こる」と評判に
11月22日、スペイン南東部のムルシア州ムルシア市で、15年間続いていたカルト教団「トータル・トランセンデンス」の教祖が、詐欺、傷害、違法結社、公衆衛生法、水銀法違反ほか複数の容疑で逮捕された。
「教祖の祈祷で奇跡が起き、誰もが健康になる」という評判とともに信者を増やし、収益でマハサンディという財団も設立。自らその理事長を務めるやり手だった。
■祈祷で荒稼ぎ
逮捕された教祖のホセ・マヌエル・カノヴァス(50)は、独自に処方した「エリクサー」を信者に飲ませ、体調不良を訴える者に祈祷を行っては祈祷料を受け取っていた。
エリクサー(エリクシルとも)は日本語では「錬金霊液」などと呼ばれ、病気の人を治癒回復させる力を持った液体の霊薬のこと。信者たちはまさか危険物質が含まれているとは思わず、それを口にしていた。
■体調を崩すと霊薬をやめ祈祷に
カノヴァス容疑者は広大な土地を所有し、そこに寺院、自身や数名の信者が暮らす洞窟のような住居、そして地下壕などがあった。警察は研究施設から181.4キロもの水銀を押収し、エリクサーにも微量ずつ含まれていることを突き止めた。
信者はそれで体調を崩し、なかには筋力の低下、記憶、聴覚、視覚に障害が出る者も。容疑者は信者にエリクサーを飲むのをやめさせ、そこからは祈祷に切り替えていた。
■オンラインショップでも金儲け
カノヴァス容疑者は、向精神作用のある有害な薬物も販売。「体調が回復。元気が出る」などという触れ込みで、オンラインショップやハーブ店で販売されていた。
警察の取り調べに対し、容疑者は「水銀入りの霊液があれば信者の心をコントロールできると思った」などと供述している。なお、排水管からも水銀の成分が検出されているという。
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(文/Sirabee 編集部・浅野 ナオミ)