「糸引きマフィン騒動」で焼き菓子が続々販売中止も、“大きな誤解”が… 腐敗の原因をパティシエが徹底解説
“糸引きマフィン”の騒動からの風評被害も問題になる中、パティシエの有賀弘隆氏が焼き菓子の安全性について改めて解説。「知らなかった」と驚く声も。
パティシエの有賀弘隆氏が28日、YouTubeチャンネル『パティシエ有賀のYouTube製菓学校』を更新。イベントで販売されたマフィンによる食中毒が発生した問題を受け、焼き菓子の安全性について改めて解説した。
関連記事:全然関係ないのに… 食中毒騒動の「デスマフィン屋」、響きが『ONE PIECE』あの人気キャラを彷彿とさせると話題
■風評被害で販売中止も
食中毒が発生したのは、東京・目黒区の焼き菓子店「Honey×Honey xoxo(ハニーハニーキス)」が、アートイベント『デザインフェスタ』で販売したマフィン。購入者から腹痛や体調不良を訴える声や、具材が糸を引いているといった指摘が相次いだ。厚労省は販売されたマフィン約3,000個について、健康への被害が最も高い「CLASSI(クラス1)」のリコール対象となることを公表した。
この騒動を受け、今回の問題とは全く無関係の店が、『デザインフェスタ』とは別のイベントで、会場側から突如として焼き菓子の販売中止を求められるなど、風評被害も起こっていることが報じられている。
■「落ち着いて」呼びかけ
個人や小規模の店舗が作った焼き菓子を食べるのを恐れる声もある中、有賀氏は「落ち着いてください」と呼びかける。
マフィン以外に、フィナンシェやカヌレ、パウンドケーキといった焼き菓子も危険視されてしまうケースも出ているが、「マフィンは、牛乳というダイレクトな水分を足すレシピ。パウンドケーキもフィナンシェも、水を足さないです」と話す。
焼き菓子は水分が腐敗の主な原因となりやすいが、「焼き菓子のカテゴリによっては、そもそも水分を加水して焼くものではない、もともと水分量が少ない焼き菓子もある」と説明。
■「しっとり」の理由は
また、焼き菓子の生地は、泡の中の水分に熱が加わることによって気化し、その際に体積が増えるのを利用してふっくらと浮き上がらせるという。「なので、水分を入れたからといって腐るわけでもなくて、しっかりと火を入れて、ちゃんと気化して膨らませたものだったら、生地中にあまり水分は残らない」と解説。
さらに、生地が「しっとりしている」のは、「ほぼ油です。水分を足していくというよりは、油の性質とか種類でしっとりと感じさせるという作り方をします。しっとり=水分という考え方ではない。パウンドケーキやフィナンシェも、全然水分がないわけではないんですが、水分をたくさん入れるマフィンに比べれば、危険性っていうのは低いです」と語った。