米中首脳が1年ぶりに会談 対立関係の改善は進んでいくのか
習近平国家主席が6年ぶりに米国を訪問し、バイデン大統領と1年ぶりに会談。今回の会談から米中双方の思惑が明らかになった。
■サンフランシスコでの米中会談
両国は安全保障や経済、貿易や人権など多くの分野で対立と競争を繰り広げているが、今回の会談では一定の歩み寄りが見られた。
会談で両国は、軍当事者間の対話再開や人工知能分野での規制、温暖化対策などで協力し、軍事衝突など不測の事態に陥らないよう関係を管理していくことで一致した。
一方、台湾問題で双方は従来の主張を繰り返し、平行線となった。習国家主席は、米国で2027年や2035年に台湾有事が発生するとの報道があることに言及し、そうした計画は一切ないと否定する一方、台湾への武器支援を停止して平和的統一を支持するようバイデン大統領に要求した。
そして、台湾統一は必ず達成するとの意思を改めて強調し、バイデン大統領は中国による一方的な現状変更に反対し、台湾周辺での軍事行動を自制するよう要求した。
■米中双方が歩み寄りを見せた理由
台湾など安全保障問題では平行線となったが、今回の会談では米中双方が必要以上の関係悪化を避けたいという本音が見えた。
今日、米国はウクライナ情勢やイスラエル情勢に対処する必要があり、中国との対立が新たな問題は避けたいという事情がある。今日の米国に、ウクライナ、イスラエル、台湾の3正面に同時に対処する余裕はない。今は何としても中国との関係でさらなる緊張は避けたいのだ。
一方、中国としても不動産バブルの崩壊や若年層の失業率悪化など国内経済が悪化しており、米国など外資の脱中国を抑えたい狙いがあるのだ。
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(取材・文/Sirabee 編集部・セレソン 田中)