流行語大賞にもノミネートのアーバンベア問題 6割が「駆除もやむを得ない」
ブナの実の不作も影響していると言われる人家や街中に降りてくるクマの問題。駆除には苦情の電話もあるというが…。
今年の『ユーキャン新語・流行語大賞』のノミネート30語にも入った「アーバンベア」というキーワード。本来は奥山に棲むはずのクマが、里山のみならず都市部にまで降りてきてしまう現象のことだ。
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■ブナの実の不作も影響
日本に生息するクマの仲間は、北海道に棲むヒグマと、本州・四国のツキノワグマの2種。いずれも寒くなると冬眠する習性があるが、そのためには秋に大量の餌を摂取する。
しかし今年は、野生動物たちの重要な餌になるブナの実が記録的な不作で、山にクマたちの食べるものが足りない状況。そのため、腹を空かせたクマが人家や街中に姿を現すことになった。
東京都内でも町田市や八王子市、あきる野市などが注意喚起を行っている。一方で、駆除を行う自治体に対しては、「熊を殺すな」といった迷惑電話も多いという。
世間はアーバンベア問題に対して、どのように考えているのだろうか。
■6割以上が「駆除も」
Sirabee編集部が、11月10〜12日にかけて全国10〜60代男女1,000名を対象に「アーバンベア問題への対応」について調査したところ、64.8%が「駆除もやむを得ない」と回答した。
一方で、「麻酔を使うなど、殺処分は避けるべき」という人も28.9%。また、「人間の行動や居住地域を制限すべき」という意見も6.3%存在する。
■北海道・東北では「駆除派」8割
クマ被害やその恐怖感については、地域によってリアリティも大きく異なるだろう。
あまりクマが出没しない地域では、「かわいいクマさん」という印象を持つ人も多いかもしれないが、ヒグマに比べると小さなツキノワグマでさえ本州最大の哺乳類だ。
今回の調査でも、今年、大学生の死者も出ている北海道や東北では、77.3%が「駆除もやむを得ない」と回答。一方で、駆除を求める声が最も少なかったのは北関東。北海道・東北とは20ポイント近い差が開いている。
秋に栄養を蓄えられなかったクマは冬眠できず、「穴持たず」として冬を過ごすケースもある。通常は冬になると少なくなるはずのクマ問題だが、今年はとくに予断を許さない。
■執筆者プロフィール
タカハシマコト:ニュースサイトSirabee編集主幹/クリエイティブディレクター
1975年東京生まれ。1997年一橋大学社会学部を卒業。2014年NEWSYを設立し、代表取締役に就任。東京コピーライターズクラブ(TCC)会員。カンヌライオンズシルバー、TCC審査委員長賞、ACCシルバーなどの広告賞を受賞。
著書に、『ツッコミュニケーション』(アスキー新書)『その日本語、お粗末ですよ』(宝島社)
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(文/Sirabee 編集部・タカハシマコト)
対象:全国10代~60代男女1,000名(有効回答数)