イギリスの自殺推奨サイトが大手プロバイダからブロック 50人の自殺に影響与えたか
自殺を指南するフォーラムに参加した人が、次々と自殺を実行。未成年も簡単に参加できることから、問題になっていた。
イギリスで570万人以上が利用していたとみられる自殺推奨サイトが、ブロックされた。同サイトが主催したフォーラムに参加して最低でも50人が、自殺したと伝えられている。この出来事を『BBC』が報道した。
■自殺推奨サイトをブロック
SkyやTalk Talkなどイギリスの大手インターネットプロバイダが、少なくとも50人の自殺者に関与したとみられる自殺推奨サイトへのアクセスをブロックした。ホームルーターからのアクセスを自動で阻止するフィルターを設定し、サイトやフォーラムを表示できなくする措置をとったという。
570万人ほどが自殺推奨サイトを利用していたとみられ、自殺方法をアドバイスするフォーラム参加後の自殺者が特に多いとわかった。サイト利用に関して年齢制限はなく、死亡した50人の中には17歳の未成年者も含まれていたという。
■サイトは規制を無視
BBCの投稿を受けて、自殺推奨サイトは「フォーラムを妨害する脅しは無視する」という主旨のメッセージを、サイトのトップページに掲載したという。
イギリスでは10月に、違法サイトや有害な内容を規制する『オンライン安全法(Online Safety Act)』法案が成立。コンテンツだけではなく、それらを提供する検索エンジンやプロバイダへの法的措置が盛り込まれている。同法案はイギリス王室へ申請されており、承認が下りれば法律として制定される予定だ。
規制法案の制定への動きがある中、サイト側はユーザーに対しメッセージで、オンライン安全法の圧力に反対するよう呼びかけているという。
■自殺者家族の悲痛な想い
これまでに自殺者が死亡した経緯については、自殺推奨サイトを利用していただけでなく、ほとんどがフォーラムへの参加後に自殺しているという共通点が見られた。
2021年に自らの命を絶ったトムさん(当時22)の両親は、メディアに「プロバイダがサイトをブロックしたと知り、涙が出た。2年前に規制されていたら、息子は死なずに済んだかもしれない」とつらい胸の内を話した。
また2020年に亡くなったジョーさん(当時23)の母親は、「他のプロバイダも見習うべき」と、サイトのブロック規制強化を要求している。
■サイト管理者は米国在住
BBCは、独自調査でサイト管理者の一人と思われる人物を特定した。アメリカ・アラバマ州在住のラマーカス・スモールという男性で、「キウイ・ファームズ」という自殺推奨サイトを運営していることも明らかになった。
スモールさんはBBCへのコメントを拒否しており、「私を地の果てまで追いつめても解決にならない」と、意見をサイトに投稿した。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)