グランドキャニオンの名物「愛の南京錠」に警告 カリフォルニアコンドルの身に危険
観光客のカップルが愛の誓いを込めて残す南京錠「ラブロック」によって、グランドキャニオンに生息するカリフォルニアコンドルが危険にさらされている。
アメリカ・アリゾナ州にあるグランドキャニオンで、観光客が残す南京錠、通称「ラブロック(愛の南京錠)」が問題になっている。『CBS NEWS』や『USA TODAY』がレポートした。
【写真】グランドキャニオンの公式アカウントが「ラブロックへの懸念」投稿
■愛の誓い「ラブロック」
「ラブロック」と呼ばれる南京錠を使った誓いは、もともとハンガリーで始まった反体制派のムーブメントが起源で、ロマンチックな意味合いはなかったといわれている。
しかし2007年に公開の映画『Ho voglia di te(英題:I want you)』で、イタリア・ローマにあるミルヴィオ橋に恋人同士が愛の誓いを南京錠に込めて付けたことで、「ラブロック」として一躍トレンドになった。
この流れを受けて、観光客がフェンスや建物にイニシャルなどを記した南京錠をつける行為が一般化していったという。グランドキャニオンも例外ではなく、永遠の愛が叶うとして「ラブロック」を谷に放り投げていくカップルが後を絶たないのだそう。
■カリフォルニアコンドルの生息地
グランドキャニオンは、カリフォルニアコンドルという大型鳥類の生息地の一つである。一時は30羽ほどにまで減少した絶滅危惧種で、保護されたあとは動物園で飼育されていた。現在は約500個体が確認されており、野生に戻されている。
カリフォルニアコンドルは、全長1~1.5メートルで体重は10キロ前後になり、鳥類の中では最大級の個体だ。ハゲワシなどと同様に肉食で、動物の死骸などを餌にしている。また光るものに興味を示す習性があり、好奇心の旺盛な性格としても知られている。
■南京錠がお腹に…
グランドキャニオンの池や水辺に放置された南京錠は、カリフォルニアコンドルの格好のターゲットになっている。公園では南京錠を呑み込んだ個体を発見しており、切開手術で錠前を取り除く処置が施されているという。
今年10月に、グランドキャニオンでゴルフボールを打ち、ドライバーの柄も谷に飛ばした動画をTikTokに投稿をした女性が、非難を浴びた。女性の行為は、アリゾナ州では最高5,000ドル(約75万円)の罰金と6ヶ月の懲役になる軽犯罪に相当するという。
グランドキャニオンは公式Facebookで、「コンドルはコインや包装紙、金属など消化できないものを食べてしまい、多く摂取しすぎた場合は死にいたる可能性がある」「南京錠を残していくのは、ポイ捨てや落書きと同様の行為」と忠告している。
■公式が「ラブロックへの懸念」投稿
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)