出産時に母子への負担なく協力できる「さい帯血バンク」 世界さい帯血デーで厚労省が協力呼びかけ
15日の世界さい帯血デーに寄せて、厚生労働省がさい帯血の提供を呼びかけ。移植を必要とする患者は毎年2,000人ほどいるという。
厚生労働省が15日、公式X(旧・ツイッター)を更新。出産を予定している人に向け、「さい帯血」の提供について呼びかけた。
■「助かる命があります」
同省では、「さい帯血で助かる命があります」として、「移植を必要とする患者は毎年2,000人程います。1人でも多くの患者を救うため、さい帯血(へその緒の中の血)についてシェアをお願いします」と呼びかける。
「11/15は世界さい帯血デー。出産時の提供で助かる命があります」と改めてつづり、公的さい帯血バンクのホームページを紹介している。
■「さい帯血移植」に使用
さい帯血は、妊娠中の母親と赤ちゃんを結ぶさい帯と、胎盤の中に含まれている血液のこと。
さい帯血の中には、赤血球や白血球、血小板といった血液細胞を作り出す造血幹細胞が多く含まれている。そのため、白血病や再生不良性貧血などの治療として「さい帯血移植」に使われる。
■痛みや分娩後の経過に影響なし
日本赤十字社の公式サイトによると、さい帯血の採取は出産が終わった後の胎盤とさい帯から行われるもので、母体にも赤ちゃんにもまったく痛みはなく、分娩後の経過にも影響しない。
ただ、さい帯血の採取には厳格な基準があるため、どの産科でも採取できるわけではなく、公的さい帯血バンクと提携している産科施設での出産のみとなっている。
また、提供の同意書への記入、感染症等の検査のための母体の血液検査、出産後4ヶ月以降に母子の健康状態を確認する健康調査票の記入などが必要となる。
さい帯血バンクの移植症例数は、2022年は1,335例、今年は10月末の時点で1,147例、1997年からの累計では2万3,524例となっている。