「超加工食品」過剰摂取でうつ病発症率が上昇 ポテチや人工甘味料入り飲料など多数
科学者らが、「超加工食品」の過剰摂取がうつ病発症に深く関係すると発表した。
ポテトチップスや人工甘味料入り飲料などの「超加工食品」の過剰摂取が、うつ病発症率と関連していることが、科学者の研究で分かった。『NewsWeek』や『The Gaurdian』などが伝えている。
■「超加工食品」の過剰摂取
NOVA分類という定義に基づき、食品カテゴリーを4つに分類した中のグループ4に属するものを「超加工食品」と呼ぶ。インスタントラーメン、冷凍ピザ、ポテトチップスやハムなど多くの加工食品がこれに相当する。
工場で生産される塩分、油分を含む多数の調味料が入った加工品を指し、人工甘味料を含んだ飲料も同カテゴリーに属する。東京大学の調べによると、日本人の60歳以下の成人が1日で摂る総エネルギーは、50%近くを超加工食品が占めるという。
■アメリカで3万人を調査
マサチューセッツ州総合病院とハーバード大学医学部が、2003年から14年間にわたりアメリカの白人女性3万人を対象に調査を行った。40~60代のうつ病診断を受けた女性ばかりが対象だ。
患者の精神状態と食事のデータを集約し、超加工食品の摂取量とうつ病発症の比率を求めた。結果、1日の食事で9食分以上を超加工食品で占める人は、そうでない人と比較してうつ病発症リスクが49%高くなっていた。
また超加工食品を3食以下に減らした人は、継続的な加工食品生活者と比較して、発症率が低かったことも明らかとなった。
■シグナル分子の伝達を誘発
研究者たちによると、超加工食品は気分を司る脳内の伝達シグナルに影響を与えていることが推測できるという。過去の研究では、思春期に砂糖を過剰摂取すると精神疾患を誘発することが分かっている。
これは、血中から神経細胞の栄養となるグルコースの取り込みが低下することが原因だ。特に統合失調症と双極性障害を誘発する傾向が高く、遺伝子に脆弱性のある人が発症しやすいことも実証されている。
■栄養不足が原因
研究者たちは、超加工食品による具体的なうつ病発症因子の特定には至っていない。しかし超加工食品の過剰摂取により栄養不足になることを指摘している。
特に、超加工食品の過剰摂取ではビタミンB12や葉酸、オメガ3脂肪酸などの栄養素が不足し、うつ病発症のリスクを高めるという。また炎症作用もあるとして、野菜や果物をはじめ豆類、ナッツといった地中海スタイルの食生活を推奨している。
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(取材・文/Sirabee 編集部・本間才子)